変形労働時間制(1年単位)
Q 当社は季節ものの商品を製造する会社のため、季節によって繁閑の差が大きく、繁忙期には残業が多くなってしまいます。今後、「1年単位の変形労働時間制」を採用しようと思うのですが、どのような制度でどのようなことに注意すればよいのでしょうか。
A 1年単位の変形労働時間制では、季節などによって業務量の繁閑の差がある場合、それにあわせた労働時間の設定を行うことで、効率的に労働時間を配分できます。採用すると、1か月を超え1年以内の一定期間について、平均し1週間の労働時間が40時間を超えなければ、特定の日や週について1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができます。ただし、これを超えると残業代を支払う必要があります。また、特定された各日の労働時間は、労使の合意があったとしても対象期間の途中で変更することはできません。
採用されやすい業種
・特定の時季(夏季・冬季など)が繁忙期である業種
・年末が決算期に入るため、12月~1月が忙しい業種
要件
- 労使協定を締結し、労働基準監督署長に届け出ること
①対象労働者の範囲 ②対象期間及び起算日 ③労働日及び労働日ごとの労働時間(特定期間を定める場合はその期間) ④労使協定の有効期間 - 就業規則等に定めること(労働者数によっては労働基準監督署へ届け出必要)
- 労働時間の長さの制限
イ 対象期間の所定労働時間数…対象期間の労働時間を平均して、1週間当たり40時間を超えないように、各日・各週の所定労働時間を全期間にわたって定めなければならない。ただし、1ヶ月以上の期間ごとに区分した時は、最初の期間を除き各期間が始まる少なくとも30日前に各日の労働時間を定めてもよい
ロ 1日及び1週間の労働時間数の限度
①1日10時間、1週52時間以内とする
②対象期間が3か月を超える場合は、
・1週48時間を超えるのは連続3週以内
・3か月ごとに区切った各期間に1週48時間を超える週は3回以内に設定 - 対象期間中の労働日数の限度
・対象期間が1年の場合は280日
・対象期間が3か月を超え1年未満の場合は、280日×対象期間の歴日数/365日 - 連続して労働させる日数の限度…6日を限度(ただし特定期間(繁忙期)においては12日とすることができる)