年次有給休暇中の急な呼び出し
Q 年次有給休暇を取得していた従業員を緊急の業務のため呼び出し、午前10時から午後2時までの4時間勤務させました。この場合の有給休暇はどのように扱えばよいでしょうか。
A 年次有給休暇は、本来労働義務のある労働日に労働することを個別に免除する日です。従って使用者の都合によって呼び出すことは原則できません。
しかし、労働者本人の自由意思により使用者からの呼び出しに同意して、出勤に応じた場合は勤務してもらうことも可能です。
この場合は年休を与えたことにならないため、年休取得を取り消して、改めて別の日に1日の年休を与える必要があるでしょう。
年休は、原則「1労働日」単位で付与されるものです
1労働日とは通常労働日の午前0時からの24時間とされています
急な呼び出しによる出勤時間が1労働日の一部であっても、その日は年休を与えたことにはなりません。
また年休は通常の労働日に労働義務が免除されているのにすぎず、休日ではありません。
従って労働者が呼び出しに応じて勤務した場合は、通常の労働日に勤務を行ったことになります。この場合、法定労働時間内の勤務であれば、割増賃金を支払う必要はないので、1日分出勤すれば、1日分の給与の支払いで問題はありません。
しかし、急な業務が終了し、帰るよう言われた場合には「使用者の責に帰すべき事由による休業」になるので、休業手当の支払い(平均賃金の100分の60以上)が必要となります。
仮に、この日の実際に労働した時間に対する賃金支払い額が平均賃金の100分の60以上であれば休業手当を支払う必要はありませんが、100分の60に満たない場合は100分の60に不足する分(差額)を支払う必要があります。
ポイント!
年次有給休暇取得中の労働者を呼び出して勤務させる場合は、賃金トラブルにならないように注意する必要があります。安易な呼び出しは控えましょう。