副業・兼業について(その3)
Q 副業・兼業をしたとき労災などの保険関係はどうなりますか。
A ◎労災保険について
事業主は、労働者が副業・兼業(複数事業労働者)をしているかに関わらず、労働者を一人でも雇用していれば労災保険の加入手続きを行う必要があります。副業・兼業をしている労働者も安心して働くことができる環境を整備するために、労災保険給付が拡充されました。(R2.9.1~)
ただし、副業が個人事業主や経営者の立場だという理由で労災保険に加入されていない場合は労災給付の対象とはなりません。
雇用保険の適用事業所に勤務している労働者で、
①同一の事業主の下で週20時間以上
②31日以上継続して働く
等の加入要件を満たす場合は雇用保険に加入する義務があります。副業を行っている労働者がそれぞれの雇用関係で加入要件を満たす場合は、主たる賃金を受けている事業所で加入します。そのため、給付事由が生じた時(失業、育休など)は、加入している事業所での収入から給付日額が算定されます。
また、それぞれの雇用関係が①②の加入要件を満たさない場合は、たとえ労働時間の合算が20時間以上となる場合でも雇用保険には加入できません。
◎労働契約によって雇用保険の適用が異なる例
ただし、65歳以上の労働者本人から申し出があった場合、一の雇用関係では被保険者要件を満たさない場合でも、二の事業所の労働時間を合算して雇用保険を適用することが試行的に開始されます。(令和4年1月1日から)
◎健康保険・厚生年金保険について
社会保険(健康保険及び厚生年金保険)の適用要件は、適用事業所や被保険者ごとに判断されます。複数の事業所に勤務する労働者がいずれの事業所においても適用要件を満たさない場合は被保険者とはなりません。もしも、配偶者等の健康保険被扶養者となっている方が、副業によって収入が130万円を超える等の場合、被扶養者の認定要件を満たさなくなり、併せて国民年金の第3号被保険者ではなくなります。市町村窓口で国民健康保険・国民年金に加入することが必要です。
また、既に社会保険に加入されている方が、副業先でも適用要件を満たす場合は、副業先でも社会保険の加入手続きをする必要があります。その後労働者本人がいずれかの事業所の管轄の医療保険者及び年金事務所を選択します。各事業所の報酬月額を合算して算定された標準報酬月額を案分した保険料がそれぞれの事業所で控除されます。
ポイント!
副業を行うことでスキルや経験を得たり、やりたいことに挑戦でき、キャリア形成や自己実現を追求できますが、自身による就業時間や健康管理も一定程度必要となります。
また、所得の増加によって保険料などに変更が生じるものもあるので注意しましょう。