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2019年10月31日 (木)

妊産婦への配慮

Q 正社員として工場で働いています。この度妊娠が判明しました。つわりがひどく、切迫流産のおそれがあると医師に言われました。業務上重いものを持つことが多いため、職場へ報告したところ、「忙しいので長期で休まれては困る。短時間の勤務対応もできない。」と言われました。働き続けたいのですが、辞めるしかないのでしょうか。


A 妊娠、出産、産前産後休暇の請求や取得を理由とする解雇、その他の不利益取り扱いをすることは禁止*1されています。(男女雇用機会均等法第9条)また、使用者は妊娠中の女性が請求した場合は、他の軽易な業務へ転換させなければならないとされています。(労働基準法第65条)このことから、「妊娠している状態で通常の勤務ができない」ことを理由に解雇したり、退職を迫ることは違法といえるでしょう。

先ずは働き続ける意思をはっきりと伝えましょう。つわりや体調不良でつらいときや、職場に配慮してほしい場合には、医師に「母性健康管理指導事項連絡カード」を書いてもらいましょう。この連絡カードは、主治医等が行った指導事項を事業主へ的確に伝えるためのカードです。事業主は、このカードの記載内容に応じ、適切な措置*2を講じる義務があります(男女雇用機会均等法第13条)。これに違反した場合は、厚生労働大臣が勧告し、それでも従わなかった場合は勧告された旨が公表されることもあります。


*1 不利益取り扱いの禁止の対象となる事由(均等法第9条3項、同施行規則第2条の2)

①~④略

⑤軽易な業務への転換を請求し、又は軽易な業務に転換したこと。

⑥事業場において変形労働時間制がとられる場合において、1週間又は1日について法定労働時間を超える時間について労働しないこと、時間外もしくは休日について労働しないこと、深夜業をしないことを請求したこと、又はこれらの労働をしなかったこと。

⑦育児時間の請求をし、または育児時間を取得したこと。

⑧妊娠中および出産に起因する症状(つわり、妊娠悪阻、切迫流産、出産後の回復不全等、妊娠または出産をしたことに起因して妊産婦に生じる症状をいう)により、労務の提供ができないこと、もしくはできなかったこと、または労働能率が低下したこと。

*2 指導事項に応じた措置(例)

  1. 妊娠中の通勤緩和→時差通勤、勤務時間の短縮等の措置
  2. 妊娠中の休憩→休憩時間の延長、休憩回数の増加等の措置
  3. 妊娠中または出産後の症状等への対応→作業の制限、勤務時間の短縮、休業等の措置

‼ポイント‼ 

◎「軽易な業務」については特に法律で定められていないため、会社と当事者の状況に応じて検討することになります。会社は、軽易な業務を新たに作ることまでは法律上求められておらず、適切な業務がないときは現在の業務で働く時間を短縮するか、休業で対処せざるを得ないこともあるでしょう。その場合、労基法で賃金額の保障はされていないため、転換後の業務内容、賃金については協議が必要です。

◎カードの提出がない場合でも、女性労働者本人の申し出等から主治医等の指導内容等が明確であれば、事業主は必要な措置を講ずる必要があります。また、指導等はないが女性労働者から申し出があった時、会社は主治医等と連絡を取り、その判断を求めるなど適切な対応を図る必要があります。

◎事業主は女性労働者の症状等に関する情報につき、プライバシーの保護に特に留意する必要があります。

◎妊娠・出産等を理由とする解雇・不利益取扱いに関する職場でのトラブルは、一人で悩まず各都道府県労働局雇用環境・均等室にご相談ください。