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2020年7月16日 (木)

変形労働時間制(1カ月単位)

Q 月初めと月末がとても忙しく9時間勤務や10時間勤務の日もあります。労働時間が8時間を超えたら時間外手当がつくと聞いたことがありますが、全く時間外手当が付きません。法的に問題は無いのでしょうか。


A 変形労働時間制を採用している可能性があります。入社時にもらった労働条件通知書や、就業規則※1があれば確認してみましょう。※1 ⇒以下に記載例掲載


労働基準法(第32条)で、労働時間は休憩時間を除いて1日8時間、1週間40時間(特例措置対象事業場は44時間※2)までと定められており、これを超えた場合は割増賃金を支払う必要があります。※2 労働者10人未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業

変形労働時間制を採用していれば、業務の繁閑に対応して1日の所定労働時間を弾力的に配分することができます。ご相談者の場合、1カ月単位の変形労働時間制を採用している可能性があります。その場合、月初めと月末の忙しい日の所定労働時間を長く設定し、それ以外の日は所定労働時間を短くすることが可能となります。1日の所定労働時間を9時間、10時間と定めた日であれば8時間を超えていても、また週に40時間を超える定めをしていればそれを超えても割増賃金の対象とはなりません。ただし、1カ月単位の変形労働時間制の採用に当たっては以下について注意が必要です。

1. 所定労働時間の総枠

 

週法定
労働時間

月の暦日数

31日

30日

29日

28日

40
(44)

177.1(194.8)

171.4(188.5)

165.7(182.2)

160.0(176.0)

2. 1週平均の労働時間・・・40時間(44時間)以下 ⇒ 総労働時間÷(暦日÷7)

3. 休日・・・週1日または4週4休

4. 労使協定(労基署への届出必要)または就業規則その他これに準ずるものへ記載
    ・・・各日(始業・終業時刻も)、各週の所定労働時間の長さを定めなければならない。


※1 就業規則への記載例

第〇条

1 所定労働時間は、毎月〇日を起算日とした、1カ月単位の変形労働時間制の採用し1カ月を平均し、1週間当たり40時間を超えない範囲において、次のとおり定める。

1日~15日 始業時刻 午前9時、終業時刻 午後4時

16日~末日 始業時刻 午前8時30分、終業時刻 午後6時30分

flairポイント!

変形労働時間制を採用し、あらかじめ法定労働時間を超える定めをしている日や週であれば時間外手当の対象となりません。その定めた時間を超えた場合と所定労働時間の総枠を超えた場合に、時間外手当が発生します。