始業前(早出)出勤の労働時間性について
Q 事業主から仕事開始10分~15分前には職場に来るのが常識だと言われているので出勤しています。また、指示されていないにも拘らず自主的に早く出勤している場合もあります。このような場合、時間外手当は貰えるのでしょうか。
A 労働時間とは、行政解釈で「使用者(事業主)の指揮命令下に置かれている時間」とされています。早く出勤した時間について労働時間になるかどうかは、一般的に始業前の労働者の行為が事業主の指揮命令下に置かれたものと客観的に判断されるかどうかにより定まるものと解されています。指示があり早く出勤して仕事に必要な作業をしている、またはしなければ始業に間に合わないなどであれば労働時間として時間外手当の対象となると考えられます。
ポイント!
・社長や上司に早出を命じられた場合→労働時間である(賃金支払義務あり)
・社員が勝手に早出し通常業務をした→原則として労働時間とならない(賃金支払義務なし)
※例外的に労働時間となる場合もある
☆近くに社長、上司がいて黙認していた場合などは黙示的な命令と評価されれば労働時間となります。ただし、近くに上司がいても通常業務を行っていなかった場合(雑談、メール、ネットの閲覧など)は労働時間となりません。
※通常業務には
・直接的に必要な業務と間接的に必要な業務 があります。
間接的に必要な業務については
(以下 「三菱重工業長崎造船所賃金請求事件」判決より 最高裁が示した準備・後始末の労働時間性について)
作業着・保護具の着脱、 副材料・消耗品の受出し、散水、作業着・保護具の脱離など、業務に必要な行為は労働時間であると判示しています。