職場におけるモラハラ~心を痛めつける暴力~
Q 最近、「モラハラ」という言葉を見聞きすることが多くなりましたが、職場におけるモラハラとはどういうことですか。また対処法や予防策はありますか。
A モラハラとはモラルハラスメントの略で、言葉や態度、文書などにより特定の人を繰り返し攻撃し、人としての尊厳や人格を傷つける精神的な暴力のことを言います。
パワハラは職務上の地位や人間関係など職場での優位性を背景に行われるハラスメントですが、モラハラは職場での優位性とは関係なく行われることがあります。
<例> ・継続的に無視をする
・見下した態度を取る
・仕事に必要な情報を与えない(飲み会に誘わない等も含む)
・わざと聞こえるように嫌味や悪口を言う
・本人が気にしていることを揶揄する
・決裁文書や休暇取得申請などを速やかに回さない(遅らせる)
・頼まれたことをしない
・仕事の仕方を聞かれても教えない など
パワハラは周囲の人にも比較的わかりやすく、表面化しやすい傾向にありますが、モラハラは往々にして巧妙・陰湿な手口で行われ、場合によっては“ちょっとしたからかい”とか“コミュニケーションの一環”を装うように行われることもあり、周囲に気付かれにくく、事実が発覚しにくいという特徴があります。
モラハラが職場で日常的に行われれば、被害者の受けるストレスは増大し、精神的にも身体的にも深刻なダメージとなります。モラハラの被害者はとかく自分自身に問題があるのではないかと自分のことを責め、ひとりで悩み抱え込みがちです。まずは信頼できる人や社内外の相談窓口に相談しましょう。
【職場(会社)としての対策】
- 職場(会社)として『ハラスメントは絶対に許さない!』という姿勢を明確にし、従業員へ周知する
- 相談窓口を設置して、気軽に相談できるようにしておく
- ハラスメントに関する研修会を定期的に開催して、意識啓発しておく
【相談対応をする時の心構えと注意点】
- 相談者の話をじっくり最後まで聴く(傾聴)。
- 相談内容を相談者の了解なく、外部に漏らさない(守秘義務)。
- 体調面の異常が認められるようであれば、産業医や専門医等への相談や受診を勧める。
ポイント!
ハラスメントの芽を早めに察知し、摘んでおくことが予防の近道です。職場全体の意識を高めるよう教育研修を充実させ、日頃から話しやすい雰囲気をつくっておきましょう。
社内での解決や予防が難しい場合は、外部の相談機関等も活用してみましょう。
【参考】厚生労働省のポータルサイト
・ハラスメントに関するポータルサイト「あかるい職場応援団」
あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト- (mhlw.go.jp)
・働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」