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2024年2月

2024年2月28日 (水)

短期アルバイトの社会保険加入

Q 1カ月の短期アルバイトをすることになり労働条件通知書を貰ったら、雇用保険だけではなく社会保険にも加入と記載されていました。2カ月以内の契約であれば、社会保険に加入しなくても良いはずですがどうなのでしょうか。その場合、社会保険料はいくら引かれるのでしょうか。


A 令和4年10月以降は、雇用期間が2カ月以内であっても要件に該当すれば社会保険に加入するようになりました。


以前は雇用期間が2カ月以内であれば社会保険の適用除外でしたが、令和4年10月以降は当初の雇用期間が2カ月以内であっても以下のいずれかに該当する方は雇用期間の当初から社会保険の加入となります。

①就業規則、雇用契約書等において、その契約が「更新される旨」または「更新される場合がある旨」が明示されている場合
②同一事業所において、同様の雇用契約に基づき雇用されているものが、更新等により最初の雇用契約の期間を超えて雇用された実績がある場合

労働条件通知書の契約期間欄を確認し、「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」にチェックがある場合は雇用期間の当初から加入となります。ご相談者の場合、1カ月の雇用ですが労働条件通知書に「社会保険加入」と記載されているのであればこの要件に該当している可能性がありますので、再度労働条件通知書を確認してみてください。

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仮に「契約の更新はしない」にチェックがついていれば、1カ月のみの契約なので社会保険加入は出来ませんが、所定の期間を超え引き続き使用されるに至った場合は、その日から加入となります。

社会保険に加入することにより、健康保険料、介護保険料(40~64歳)、厚生年金保険料が発生します。毎月の給与額(通勤手当などの各種手当を含む)を区切りのよい幅で区分した標準報酬月額をもとに保険料を決定します。

例)鳥取県在住(年齢40歳) 
基本給88,000円、通勤手当2,000円 合計90,000円⇒保険料額表により標準報酬月額は88,000円になります。

社会保険

料率

社会保険料 (円)

労働者負担分 (円)

健康保険料率

9.68%

8,518.4

4,259.2

介護保険料率

1.6%

1,408

704

厚生年金保険料率

18.300%

16,104

8,052

29.58

26,030.4

13,015.2

※保険料率は、令和6年3月分(4月から9月納付分)からのものです。


社会保険に加入すると、保険料負担が発生しますが将来もらえる年金額が増えるという大きなメリットがあります。

参考)年金額シミュレーション(厚生労働省 社会保険適用拡大ガイドブックより)
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他にも年金や医療保険の面で今より手厚い保障を受けられるメリットがあります。

社会保険に加入するメリットや短時間労働者の社会保険加入要件などについてはこちらのページを参考にして下さい。
パートの社会保険加入の拡大

パートの社会保険加入の拡大

Q 私はパートで週20時間働いており、雇用保険には入っていましたが、社会保険(厚生年金と健康保険)には加入していませんでした。先日会社から、社会保険に入るよう言われましたが、主人の扶養の範囲内で働きたいのですが入らないといけないのでしょうか?


A 社会保険の被保険者の要件が拡大され、その要件を満たす労働者は加入しなければなりません。どのような働き方をすればいいのか、家族でよく考えて労働契約を結びましょう。


原則は、勤務時間・勤務日数が常勤雇用者の4分の3以上働く方が社会保険(厚生年金保険と健康保険)の加入対象ですが、従業員101人以上の企業又は100人以下の企業でも労使合意に基づき、下記の要件を満たす方にも対象が拡大されました(2024年10月からは51人以上の企業が対象)。

 
【短時間労働者(4分の3未満)加入要件】
以下の項目すべてに該当する方は、加入することになります。

① 週の所定労働時間が20時間以上であること(残業時間は含めない)
② 雇用期間が2か月以上見込まれること(更新の可能性がある方を含む)
③ 所定内賃金の月額が88,000円以上であること(通勤手当、残業代、賞与などは含めない)不明な場合は「時間給×1週間あたりの所定労働時間×52週÷12か月」で計算
④ 学生でないこと(ただし夜間、定時制の方は対象)
⑤ 従業員数(社会保険の対象となっている従業員数)が常時101人以上の企業又は100以下の場合は労使で合意が出来ていること。
⑥ 現在75歳未満であること(厚生年金は70歳未満の方)

【社会保険に加入するメリット
 ・将来もらえる年金が増える
 ・障害がある状態になった場合などに障害年金がもらえる
 ・私傷病や出産で休んでも、傷病手当金や出産手当金がもらえる
 ・会社も労働者とほぼ同額の保険料を負担する

社会保険に加入すると、保険料の負担が増えますが、これまでより手厚い保障を受けることができます。

【その他気をつけるポイント】

〇 年収130万円未満であっても、上の加入要件に当てはまる方は、社会保険の被扶養者とはならず、自身で社会保険に加入することになります。
〇 配偶者が勤務する会社から支給される扶養手当(家族手当等)の支給要件については、各会社によって違いますので、その会社にお問い合わせください。

社会保険の適用関係図5_2


【被保険者の取扱いに係る留意事項】

短時間労働者(4分の3未満)の標準報酬月額の算定に係る支払基礎日数の取扱い

短時間労働者の算定基礎届・月額変更届等における支払基礎日数は、
各月11日以上の勤務日数があるかどうかで判断します。

【もし新たに社会保険に加入する場合】

〇 厚生年金保険と健康保険の加入手続きは勤め先の会社が行いますが、現在、配偶者の健康保険の被扶養者の方は、資格喪失届を配偶者の会社を通じて行う必要がありますので、その旨を配偶者の会社に申し出て下さい。
〇 現在、国民健康保険に加入している方は、国民健康保険の資格喪失の届出を自分で行う必要があります。詳しくはお住まいの市町村にお尋ねください。


なお、この社会保険の加入基準を守らない事業主には、懲役刑または罰金刑とする罰則規定が適用されますのでご注意ください。

2024年2月26日 (月)

土曜開所日(2024年3月)のお知らせ

平日の相談に加えて毎月第1土曜日を、鳥取・米子で交互に開所しています。


 2024年 3月2日(土)みなくる鳥取で窓口相談が可能です。

※開所されていない地域は、フリーダイヤルでの相談対応になります。

みなくる鳥取 0120-451-783
みなくる倉吉 0120-662-390
みなくる米子 0120-662-396

お近くのみなくるにご相談ください!(9:00~17:00)

2024年2月 2日 (金)

労働条件通知書を受け取るタイミングと記載内容

Q 入社が決まりましたが、労働条件通知書はいつもらうのですか?
また、2024年4月から『労働条件通知書』の記載内容が変わると聞きましたが、どう変わりますか?


A 『労働条件通知書』は、労働条件を企業から労働者に明示する書面で、書面をもらうタイミングは、お互いが合意した時点、つまり労働契約が成立したとき(採用内定~入社)になります。

法改正により、2024年4月から、労働条件通知書の明示事項について新たに

  • 就業場所・業務の変更の範囲
  • 更新上限の書面明示と更新上限を新設・短縮する場合の説明
  • 無期転換に関する事項

を追加して明示しなければなりません。


【労働条件通知書を受け取るタイミング】

 労働基準法第15条及び同法施行規則は、労働契約を締結する際、労働条件について書面等で交付するよう義務付けており、労働契約が成立した時から入社までの間に交付する必要があります(口頭でも労働契約は成立します)。

1_2 労働者は労働条件通知書の交付をうけることによって、労働条件を確認して安心して働くことができるともに、労使間のトラブルを未然に防止することができます。また、実際の労働条件と労働条件通知書の記載内容が異なる場合は、労働者側から労働契約を即時解除することもできます。労働条件通知書の交付は法律上定められた義務です。交付されない場合は法違反となり、罰則の対象となります。

なお、労働条件通知書と労働契約書を合わせて「労働条件通知書兼雇用契約書」として交付している企業もあります。


【労働条件通知書の明示事項の追加(2024年4月1日~)】

①就業場所・業務の「変更の範囲」の明示

全ての労働契約の締結時と有期労働契約の更新時のタイミングごとに「雇入れ直後」の就業場所・業務の内容に加え、将来の配置転換などによって変わり得る就業場所・業務の内容の「変更の範囲」を明示しなければなりません。(2024年4月1日以降に契約締結・契約更新をする労働者が対象)

②更新上限の書面明示と更新上限を新設・短縮する場合の説明

有期労働契約の契約締結時と更新のタイミングごとに、更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)がある場合には、その内容の明示が必要です。

また、更新上限を新たに設けようとする場合や更新上限を短縮しようとする場合は、あらかじめ労働者に説明することが必要になります。

③無期転換に関する事項

有期契約労働者に対して、「無期転換申込権」が発生する契約更新のタイミングごとに、無期転換を申し込むことができる旨(無期転換申込機会)を書面により明示しなければなりません(該当者には契約の都度、無期転換申込機会の明示が必要です)。その場合、無期転換後の労働条件を書面で明示することが必要です。

募集時等に明示すべき労働条件も追加
労働者の募集を行う場合にも、求職者に対して労働条件の明示が必要ですが、2024年4月1日からは、①就業場所の変更の範囲、②従事すべき業務の変更の範囲、③有期雇用契約を更新する場合の基準(通算契約期間または更新回数の上限を含む)の明示も必要となります。

労働条件通知書に明示しなければならない事項

定めをした場合に明示しなければならない事項

①労働契約の期間(通算契約期間が5年を超える有期労働契約の場合は無期転換申込権の明示)改正
②期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準(更新上限の有無と内容)改正
③就業の場所及び従事すべき業務内容(将来、就業場所・従事すべき業務の変更の範囲も明示)改正
④業務の始業及び終業の時刻、休憩時間、休日等 ⑤賃金、昇給に関する事項
⑥退職に関する事項

⑦退職手当に関する事項
⑧臨時に支払われる賃金・賞与最低賃金額に関する事項
⑨労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
⑩安全及び衛生に関する事項
⑪職業訓練に関する事項
⑫災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
⑬表彰及び制裁に関する事項
⑭休職に関する事項

なお、就業規則がある場合は、労働条件通知書に「就業規則を確認できる場所や方法を明示すること」が追加となりました。

労働条件通知書の記載例


 ~労働条件通知書の電子化も~

 労働者が希望した場合は、労働条件通知書をFAXやメール、SNS等で明示できます。ただし、書面として出力できるものに限られます。