事業開始後に廃業しても基本手当(失業給付)を 受けられる特例
Q 事業縮小で会社から整理解雇されました。退職後自分で事業を始めようと思っていますが、事業がうまくいかなかった時のことが心配です。そうなると失業給付はどうなるでしょうか。
A 雇用保険の基本手当(失業給付)は、失業中の生活を安定させるために支給されるもので、求職活動をしている場合に給付されます。したがって、退職後求職活動をしないですぐに起業した場合は受給することができません。しかし、受給資格のある人が受給期間特例の手続きをすることで、最長4年間受給期間を延長することが出来ます。仮に事業が上手く行かず廃業したとしても、基本手当の受給期間が残っていれば、再び基本手当を受給することが可能となりますので、期限までに受給期間延長の手続きをしておくことをお勧めします。
雇用保険の基本手当の受給期間は、原則離職日の翌日から1年以内となっています。しかし、受給期間の特例により、事業を開始等した方が事業を行っている期間等の最長3年間(本来の受給期間1年間と合わせて合計最長4年間)受給期間に算入しないことが出来るので、仮に事業を休廃業しても延長した受給期間中の求職活動であれば基本手当が受けられます。
離職日の翌日以後に下記の要件を全て満たす事業を開始等した場合は、受給期間の特例を申請できます。
① 事業の実施期間が30日以上であること。
② 「事業を開始した日」「事業に専念し始めた日」「事業の準備に専念し始めた日」のいずれかから起算して30日を経過する日が受給期間の末日以前であること。
③ 当該事業について、就業手当または再就職手当の支給を受けていないこと。(受給開始後に起業し、就業手当または再就職手当をもらってしまうと手続きは出来ませんが、就業手当または再就職手当が不支給だった場合には延長申請ができます。)
④ 当該事業により自立することができないと認められる事業ではないこと。
※次のいずれかの場合は、④に該当します。
・雇用保険被保険者資格を取得する者を雇い入れ、雇用保険適用事業の事業主となること。
・登記事項証明書、開業届の写し、事業許可証等の客観的資料で、事業の開始、事業内容と事業所の実在が確認できること。
⑤ 離職日の翌日以後に開始した事業であること。
※離職日以前に当該事業を開始し、離職日の翌日以後に当該事業に専念する場合を含みます。
受給期間延長の特例の申請手続きは、事業開始日の翌日から2か月以内に受給期間延長等申請書を開業届等の必要書類とともにハローワークに提出する必要があります。まずはハローワークに確認して、万が一のリスクに備えて手続きをしておいてはいかがでしょうか。