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2024年6月

2024年6月26日 (水)

鳥取県立鳥取緑風高校でパネル展示をしました

緑風高校での出前セミナーの実施にあわせて、校舎の生徒玄関に労働関係Q&Aパネルを展示させて

いただきました。

【展示期間 6/18(火)~6/25(火)】
【展示場所 鳥取県立鳥取緑風高校 生徒玄関】

退職のルールや、仕事中に皿を割ってしまった時の弁償費用の考え方などをわかりやすく解説しています。

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これからアルバイトをされるにあたり、是非知っておいていただきたいルール等をご覧いただけます。

みなくるが、困ったとき気軽に相談できる場であることをこの機会に知って頂ければ嬉しいです。

出前セミナーに行きました(鳥取県立鳥取緑風高校)

 これだけは知っておこう! 
働く時のルール

    
      【日時】令和6年6月18日(火) 
                   12:50~14:30(昼間部)、17:45~19:20(夜間部)
      【場所】鳥取県立鳥取緑風高校
      【対象】定時制 1~4年生
          参加生徒 58名(昼間部55名、夜間部3名)
      【講師】みなくる鳥取 労働・雇用相談員 前田陽子

 

「立場の異なる社長と社員では求めるものが違う」からこそ、労働法を知り、自身の労働条件を確認することが大切だとワークを通じて感じていただきました。また、働く時の基本的なルールを、〇×クイズや多くの労働相談事例を織り交ぜながら説明しました。

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今後、アルバイトや社会に出られて働く際に、間違ったことに気が付くことができ、困ったとき誰かに相談できるように、今日の講義が少しでも記憶に残れば幸いです。

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2024年6月14日 (金)

パワハラ認定における懲戒処分(その2)

Q 中小企業の社長をしています。先日、社内のハラスメント相談担当者より、パワハラ事案がありその調査結果の報告を受けました。報告内容を聞くと、パワハラ行為者への懲戒処分を検討しなければならないと感じているのですが、気を付けておくことはありますか?


A  パワハラ行為者への懲戒処分をするときには、就業規則に懲戒の種類、懲戒の事由が定められ、従業員に周知されていなければなりません。処分内容についても、事案の内容と比較して重すぎる懲戒処分は無効となる可能性があります。懲戒処分には、客観的に合理的な理由と社会通念上相当であることが求められるので、慎重に判断しましょう。


【ハラスメント対策委員会の設置と事実確認】

パワハラの認定においては事業主のみで判断せず、人事部長や労働者代表(労働組合役員等)、外部の専門家(顧問弁護士や顧問社労士)などのメンバーで構成された委員会(ハラスメント対策委員会)を設置して、ここが中心となって判断していくことが望ましいです。

ハラスメント対策委員会は、パワハラ事案の報告書をもとに、相談者・行為者双方から再度事実関係を確認します。処分に先立ち、パワハラ行為者に弁明の機会を与えることも必要です。

●パワハラと認定できなかった場合
ハラスメント対策委員会でパワハラと認定できなかった場合、相談者・行為者に報告することとなります。その時、相談者から再調査を求められた場合、相談者の納得できない気持ちを傾聴しつつも、新たな事実が出てきた場合のみ対応し、会社としては適正な対処を行った上での調査結果や判断であることを伝えましょう。

【パワハラと認定された場合】
パワハラと認定されたら、そのパワハラ行為が懲戒に値する内容かどうかを検討します。
懲戒処分の判断に際しては、下記の「考慮すべき要素」を参考にしてください。重すぎる懲戒処分は無効となるので、注意してください(労働契約法第15条)。

<パワハラの行為者に対する懲戒処分にあたり、考慮すべき要素>

・パワハラ行為の内容、頻度や期間、常習性
・パワハラ行為についての他の相談者の数
・パワハラによる相談者の被害の程度(相談者が退職に追い込まれているかどうか、精神疾患にり患するなど、健康上の問題が生じているかどうか)
・行為後の謝罪や反省の有無(パワハラではないと否定したり、開き直っているのか否か)
・行為者の過去の懲戒処分歴の有無
・職責、管理職が行為者なのかどうか   など

 パワハラは悪質ないじめ行為等の場合もありますが、熱心に指導をした内容が行き過ぎてしまったという場合もあります。パワハラ自体は許されない行為ですが、その処分にあたっては、懲戒処分として処罰をするのが適切か否かも含めて検討が必要でしょう。

(例)行き過ぎた発言があり最終的にパワハラと評価される行為をした社員が、真摯に反省している場合などにおいて、安易に懲戒処分を選択したことで、会社への貢献意欲等を喪失し、貴重な人材を失うということもあります。

 懲戒処分に値する行為が行われた場合であったとしても、懲戒処分ではなく厳重注意処分(次回同種の問題を起こせば厳しい懲戒処分を行う旨の警告付き)程度にとどめ、改善の機会を付与するという場合もあります。
 しかし、一方で行為者の反省の意思がなく繰り返しパワハラ行為等を行う悪質な従業員の場合は、放置しておくこと自体が極めて問題であり、被害が深刻化しますので、懲戒処分をすることも許容されます。

懲戒処分の種類は、「戒告・けん責・訓戒」「減給」「出勤停止」「降格処分」「諭旨解雇」「懲戒解雇」など、会社によって様々です。

 

【懲戒処分を決定したら】
 会社によってパワハラの再発防止を目的として、懲戒処分を公表する場合があります。ただし、公表するか否かは、行為者だけでなく、パワハラ被害者のプライバシーを保護する観点からも慎重な判断が求められます。

行為者へは、懲戒処分の内容を伝えるとともに、行為者の言動がなぜハラスメントに該当し、どのような問題があるのかを真に理解させることが大切です。

相談者(被害者)へは、行為者との関係改善に向けた援助や、行為者と引き離すための配置転換、また行為者から謝罪させる、などの配慮措置が求められます。その時、相談者(被害者)の意思を尊重するように心がけましょう。また、相談者の労働条件上の不利益の回復やメンタル不調があれば、管理監督者や産業保健スタッフと連携を取りながら対応しましょう。

 懲戒処分については、弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談しながら、慎重に対応されることをお勧めします。

ハラスメント相談窓口担当者の役割(その1)

Q 職場のハラスメント相談窓口担当者に任命されました。先日、パワハラを受けているという内容のメールが届き、今度対面でお話を聞くこととなりました。相談対応をするときの注意点や気を付けておくことを教えてください。


まず、社内の就業規則やハラスメント防止規定を確認し、相談窓口担当者の役割がどこまでなのか事前に把握しておきましょう。話を聞く時は、公平・中立を意識しながら、相手の話を最後までしっかり聞きましょう。


全ての事業主には、職場におけるハラスメント防止措置が義務化されており、パワハラ等の相談に適切に対応するために必要な体制の整備を行わなければなりません。

ハラスメントの相談体制は各職場で異なるので、就業規則や服務規律(ハラスメント防止規定)などで事前に確認しておきましょう。また、ハラスメントの相談から懲戒処分までの流れやハラスメント相談担当者の果たすべき役割の範囲も確認しておきましょう。


【相談対応する前の注意点】

  1. 事実関係を正確に把握するためにも、行為者・相談者・関係者への聞き取りは2名で対応し、聞き手担当、記録担当と役割分担しておくとよいでしょう。また、当事者や関係者と利害関係のない担当者を選任することが望ましいです。
  2. 双方の話を聞く時は、どちらかに肩入れしすぎないよう公平・中立に話を聞くよう心がけましょう。先入観をできるだけ持たないようにしましょう。
  3. 相談者に対して、「ハラスメント相談担当者には守秘義務が課せられていること」、「相談したことを理由に不利益な取扱しないこと」「プライバシーは保護されること」を十分説明し、安心して話せる環境を作りましょう。
  4. 相談者および行為者・第三者には、調査にあたって、聞き取りを受けたことやその内容について口外しないことを約束させましょう。また行為者に対して、報復行為は禁止であることを強調しておきましょう。

 

【相談内容を聞く時の留意点】
 パワハラの相談があった場合、会社はパワハラの有無を調査し、事実関係を正確に把握することが大切です。

<相談者への聞き取り>
(1)  最初の聞き取りでは「指導」や「判断」をすることはせず、相談者の言い分に耳を傾け(傾聴)、気になる点があったとしても、反論したり、話を遮ったりせずに、最後まで話を聴きましょう。

(2) 相談を聞く時は、具体的な事実確認に徹して話を聞きましょう。「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」など、問題となった発言や行為、その言動に至る経緯、行為者と相談者の関係などについても詳細に調査しましょう。

(3) 相談者の心身の状態を把握しましょう。傷害を負っていないか、精神的にまいっていないかどうか(睡眠や食欲、体調の変化等)を確認しましょう。場合によっては医療機関の受診や産業医へつなぎましょう。

(4) 相談者が何を望んでいるのか確認しておきましょう(ただ聞いてほしいだけなのか、懲戒処分をしてほしいのか、配置転換を希望するのか、等)。

<行為者・第三者への聞き取り>
(5) 行為者および第三者への聞き取りについては、相談者の了解を得てから行いましょう。相談者の了解が得られない場合は、行為者等への聞き取りは原則できません。しかし、放置しておくと職場環境に重大な影響を与えかねない場合や相談者が不利益を被る恐れがある場合は、行為者・第三者への聞き取りの必要性について、相談者に十分理解してもらうよう話し合いましょう。

(6) 相談者の主張が必ずしも事実とは限りません。行為者への聞き取りの際は、あくまでも中立的な立場であることを意識して、先入観を持たないよう、話を聞くことが大切です。

(7) パワハラの対象となる行為を行為者が認めている場合は、その内容を記録しておきましょう。逆に行為者が対象行為を認めていない場合は、相談者や第三者から再度聞き取りを行いましょう。

 
 相談者・行為者・第三者の言い分を照らし合わせ、双方の言い分に食い違いがある場合は、客観的な証拠や目撃者等の第三者の証言に照らして、どちらの言い分が信ぴょう性が高いのかを判断しましょう。話の内容に一貫性があるか、矛盾がないかなども判断の要素となります。

 

【聞き取り後の対応 ~担当者の役割の範囲~】

 パワハラの事実関係の聞き取りが終わると、パワハラの有無について判断することになりますが、ハラスメント相談担当者の役割が、聞き取りまでなのか、パワハラの判断や処分にまで関与するのか、企業や担当者の職責によって異なりますので、再度確認しておきましょう。

 
企業によっては、ハラスメント相談担当者の役割を内容の聞き取りと取りまとめまでとし、社内で構成した専門委員会(例:ハラスメント対策委員会等)が、報告内容に応じてパワハラの認定や処分を行うという役割分担をしている場合があります。


【相談者(被害者)に対する配慮措置の実施】
 パワハラの相談があった場合(最終的な調査結果を待たずとも)、速やかに相談者(被害者)に対する配慮措置を行うことが求められます。相談者と行為者との関係改善に向けた援助や、行為者と引き離すための配置転換、また行為者から謝罪させる、などの対応が考えられますが、相談者(被害者)の意思を尊重するように心がけましょう。


【再発防止に向けた措置】
 パワハラ防止指針では、相談者と行為者への個々の対応にあわせて、職場全体に向けたハラスメントの再発防止措置を講じることが求められています。
 ハラスメントがあったのか、又はハラスメントに該当するのか否かの認定や事実確認も重要ですが、問題となっている言動が改善され、良好な職場環境を回復するためにはどうしたらよいのかも同時に考え、行動することが大切です。

参考フロー図
企業によって相談体制は異なるので、あらかじめハラスメント相談窓口担当者に任せる職務の範囲を明確にしておきましょう。

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(参考)厚生労働省:「職場における、パワーハラスメント対策、セクシュアルハラスメント対策、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務です!」(令和4年11月作成)より抜粋【相談・苦情への対応の流れの例】


関連ページ 職場でのいじめ・パワーハラスメント