2025年1月14日 (火)

親に介護が必要となったら

Q 正社員として入社20年です。先日、同居の母が脳梗塞で入院しました。退院後は自宅に帰る予定ですが、身体の一部に麻痺があるため、しばらくの間介護が必要となりそうです。できれば仕事を続けたいのですが、いったん退職するしかないのでしょうか。


A 家族が介護状態になると、日常の中でやるべきことが更に増え、仕事を続けることへの不安が生じます。時には「介護離職」も考えてしまいますが、収入やキャリアが途切れることや、生活が介護一色となり精神的な負担が増加する等のリスクがあるので慎重に検討しましょう。会社には、仕事と介護の両立のための様々な支援制度が整えられています。まずは上司へ相談して、自分に合った両立支援制度を活用しましょう。また、地域の介護サービスを活用し、介護を一人で抱え込まないようにしましょう。


≪仕事と介護の両立のために≫

  1. 職場に「家族等の介護を行っている」ことを伝え、会社の両立支援制度の説明を受けましょう。制度活用の意向確認がされますので、必要とする制度の利用を申し出ましょう。
    (みなくる通信2024.11月号「介護制度の周知義務化とは?」参照)
  2. 介護保険サービスを積極的に利用し、「ひとりで介護をしすぎない」「自分の時間を確保する」ことを心掛けましょう。
  3. ケアマネージャーや地域包括支援センターなど、介護について気軽に相談できる窓口を持ちましょう。

≪仕事と介護の両立支援制度≫…どの制度を利用するにも労働者からの申し出が必要です!
仕事を辞めることなく、働きながら要介護状態の対象家族の介護等をするために、以下の制度が利用できます。勤務先に制度がない場合でも、法律に基づいて以下の制度が利用できます(所定労働時間短縮等の措置を除く)。

※配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、祖父母(配偶者の祖父母は対象外)、兄弟姉妹及び孫(兄弟姉妹の子、孫は対象外)のうち、要介護2以上であること、又は常時介護を必要とする家族

 ・介護休業・・・対象家族一人につき、通算93日まで3回を上限として、介護のための休業を分割して取得できます(雇用保険の被保険者が休業する場合は、介護休業給付金として休業開始時の賃金日額の67%相当分が支給される場合があります)。会社から賃金が支払われない場合、雇用保険料は発生しませんが、社会保険料は納付しなければなりません。

介護休暇・・・要介護状態にある対象家族の介護・世話をするための休暇を時間単位で取得できます。対象家族が1人の場合、年5日(原則:毎年4/1~翌3月末)まで、2人以上の場合、年に10日まで取得可能です(一般的に無給。会社によっては有給の場合があります)。

所定外労働の免除(残業免除)・・・所定労働時間を超える労働が免除されます。介護終了まで何回でも取得可能ですが、1回の取得単位は、1か月以上1年以内の期間での請求となります。

時間外労働の制限・・・介護が終了するまで、1か月24時間1年150時間を超える時間外労働を制限することを請求できます。

深夜業の制限・・・介護が終了するまで、午後10時から午前5時までの労働の制限を請求できます。

所定労働時間短縮等の措置・・・利用開始の日から3年以上の期間で、2回以上利用が可能な事業主が講じた措置のうち、短時間勤務フレックスタイム制度時差出勤介護費用の助成いずれかを利用できます。

・不利益取り扱いの禁止・・・介護休業などの制度の申し出や取得を理由とした解雇など不利衛な取り扱いが禁止されています。

・ハラスメント防止措置・・・上司・同僚からの介護休業等を理由とする嫌がらせ等と防止する措置を講じることが事業主に義務付けられています。

≪短時間勤務が利用できる場合の取得例≫

1_10

会社が短時間勤務制度を措置し、それを利用した場合は、短縮された時間に相当する賃金は減額されるのが一般的です。短時間勤務制度を取得できる期間やその手続き、賃金等のルールは就業規則で定められているので、利用を希望する際は就業規則を確認しましょう。


flairポイント!

①会社の両立支援制度へ関心を持ち、介護を行う側の状況を把握するとともに、いざという時のために介護される側の希望を事前に確認しておきましょう。

②家族の介護は突然必要となるケースが多いため、もしもに備えて、職場内での情報の共有や業務のマニュアル化を進めましょう。

③入社1年未満の労働者と、週の所定労働日数が2日以下の労働者を労使協定により、両立支援制度の利用対象外としている場合があるので会社へ確認しましょう。

2025年1月10日 (金)

鳥取湖陵高校でパネル展示中です

鳥取湖陵高校で3学期の始業式に合わせて、校舎廊下に労働関係Q&Aパネルを展示していただきました。

労働契約や労働条件通知書の見方、解雇のルールなどをわかり易く解説したパネルです。

これから進学や就職をされる学生にとって、働く時のルールを知っておくことは大切です。

自分の身を守るためにも、広く興味をもって知っていただき、困ったときには相談できる場があることも合わせて知っておいてほしいと思いました。

【展示期間 2025.1.9(木)~2025.1.30(木)】

Img_2301

Img_2305

2025年1月 7日 (火)

出前セミナーに行きました(公立鳥取環境大学)

これだけは知っておこう!
働く時のルール「労働法」

      【日時】令和7年 1月 6日(月)   13:00 ~ 14:30
      【場所】公立鳥取環境大学 本部・講義棟1階 11講義室
      【対象】参加者 127名  (学生 113名、一般14名)
      【講師】みなくる鳥取 労働・雇用相談員  鈴木直子

 

とっとり消費者大学「くらしの経済・法律講座」として、大学生と一般の方を対象に、働く時のルール「労働法」をTHE社会人の小冊子を活用しながら、また○×クイズも入れながら解説しました。

今年は大学生に特に注意してほしい内容として、「闇バイト」と「ハラスメント」のことも講義に追加しました。

Dscn1940_2

アンケートでは、「長期間バイトをしているもののあまり労働に関する知識を持っていなかったので今回の講座はとてもためになった」とか「相談する場所があるのはとても大事だと感じた」「とても役立つ講義で、社会に出ても生かしていきたい」などの声が寄せられ、働く中でのルールを知っていただくよい機会となりました。

Dscn1942

困ったことや疑問に感じることがあれば、ひとりで抱え込まないよう、知人や相談機関へ相談してほしいと思います。

2024年12月24日 (火)

土曜開所日(2025年1月)のお知らせ

平日の相談に加えて毎月第1土曜日を、鳥取・米子で交互に開所しています。

2025年 1月 11日(土)みなくる鳥取で窓口相談が可能です。
(※1月は年末年始の関係上、第2土曜日となります。ご了承下さい。)

※開所されていない地域は、フリーダイヤルでの相談対応になります。

みなくる鳥取 0120-451-783
みなくる倉吉 0120-662-390
みなくる米子 0120-662-396

お近くのみなくるにご相談ください!(9:00~17:30)


2024年度(4月~3月)の土曜相談日一覧も参考にしてください。

4

年末年始のお休みについて

2024年12月28日(土)~2025年1月5日(日)までお休みとさせて頂きます。

メール相談等のお返事は1月6日(月)以降となりますのでご了承ください。

よろしくお願い致します。

2024年12月13日 (金)

米子市立図書館でパネル展示しています

【展示期間 12/13(金)~26(木)】
【展示場所 米子市立図書館  2階市民ギャラリー】

労働契約のことやハラスメント、社会保険のことなど、身近な労働相談事例を解説したパネル展示をしております。         

冊子「THE社会人」や「労働相談Q&A集」などの労働関係ハンドブックや関係資料も設置しております。自由にお持ち帰り頂けますので、必要に応じてゆっくりとご覧いただいたり現在労働関係でお困りの方へお渡し頂ければと思います。 
Dscn0027

Dscn0025

Dscn0011

Dscn0024

2024年12月 9日 (月)

鳥取県立倉吉総合産業高等学校 出前セミナー

これだけは知っておこう!
働く時のルール

       鳥取県立倉吉総合産業高等学校
       出前セミナーパネル展示


            【日時】令和6年12月3日
            【場所】鳥取県立倉吉総合産業高等学校 ビジネス科
            【対象】参加者36名(生徒35名 教諭1名)
            【講師】鳥取県中小企業労働相談所みなくる倉吉 中村広美

     鳥取県立倉吉総合産業高等学校ビジネス科の3年生を対象に、働く時のルール」を
                  THE社会人冊子(働く時のルールブック)
を活用し、〇×クイズやワークを入れ
                   ながら説明しました。


            バイト経験のある生徒さんは「バイトしていた時を思い出しながら聞いていました」
                 「親のことを想像しながら聞いていた」とアンケートに記載がありました。
                   一生懸命、理解しようという気持ちに嬉しく思いました。

            最近は闇バイトが問題になっており、危険な求人の例を挙げ、自身の労働条件を
                   確認することの大切さとあわせてお話させていただきました。

          アンケートでは「労働者の権利・義務について分かった。これから労働者になるので
                  知識を身につけて働いていきたい」「労働条件や社会保険、有給について知らなかった
                 ことまで知ることができて、とても為になる講座でした。もらった冊子を大切にして将来
                 につなげたい」
などの声を聴くことができました。

          これから社会人になる学生の皆さんには、働く時の法律(ルール)を知っていることで、
                トラブルを防ぎ、何かあれば相談することの大切さについても知ってもらい、その相談先の
                一つとして相談所みなくるがあることをお伝えしました。

Photo_2            倉吉総合産業高等学校の図書室では、みなくる貸し出しの労働法Q&A
    パネルを活用いただき、労働法やアルバイトに関するパネル展示コーナー
    が用意されました。
Photo_4    冊子やチラシも置いてあり、これから社会に出る生徒さんの為に作られた
    展示コーナーに
先生方の思いが感じられました。

2024年12月 3日 (火)

出前セミナーに行きました(鳥取県立産業人材育成センター米子校)

これだけは知っておこう!
働くときのルール「労働法」

      【日時】令和6年11月29日(金)  13:00~14:45
      【場所】鳥取県立産業人材育成センター米子校
      【対象】参加者 39名 、教員 5名
      【講師】みなくる米子 労働・雇用相談員 新井 英津子

 

高校卒業後の生徒さんや社会経験のある方など年齢的に様々でしたが、働く上での法律や制度を知っていることは、困ったときに役立つということを理解してもらえたのではと思います。

 Img_2606

ブラックバイトのことや最賃、年休、辞める時のルールなどアルバイトでも労働法が適用されるということを、〇×クイズをしながら説明しました。

また、育児と仕事の両立支援制度や社会保険のメリットなどを説明し、いざという時に使えるセーフティーネットがあるということを理解してもらいました。

今話題の106万の壁(社会保険)などは、難しいテーマなのでお話するのはやめようかと迷いましたが、かなり興味を持ってもらえたので話してよかったなと思います。

Img_2607

 最後に、自分からコミュニケーションを取って、なんでも話せる人を作って欲しい。一人で悩まず相談するように伝えました。その時はみなくるもあるので気軽に電話してくださいと伝えた。

土曜開所日(2024年12月)のお知らせ

平日の相談に加えて毎月第1土曜日を、鳥取・米子で交互に開所しています。

2024年 12月 7日(土)みなくる米子で窓口相談が可能です。

※開所されていない地域は、フリーダイヤルでの相談対応になります。

みなくる鳥取 0120-451-783
みなくる倉吉 0120-662-390
みなくる米子 0120-662-396

お近くのみなくるにご相談ください!(9:00~17:00)


2024年度(4月~3月)の土曜相談日一覧も参考にしてください。

4

2024年11月28日 (木)

2025年4月からの介護制度の周知義務化とは?

Q 社員から介護の為に退職の相談をされた場合、会社としては勤務を継続してほしいのですが、制度や判断基準などの両立支援についてよく分かりません。面談などもどのように進めればいいでしょうか。


A 事業主は、仕事と介護の両立支援制度を十分活用できないまま介護離職に至ることを防止するため、仕事と介護の両立支援制度の個別周知と意向確認により効果的な周知を図るとともに、両立支援制度を利用しやすい雇用環境の整備を行わなければなりません。また、就業規則の整備も合わせてしておく必要があります。
面談では、申出をした労働者のおかれている状況を丁寧に聞き取り、どの制度を利用すれば退職を避けることができるのかを相談しましょう。


【 事業主側 】の義務とポイント

・事業主は介護に直面した旨の申出をした労働者に対して、介護休業と介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするため、以下の①~④いずれかの措置を講じなければならない義務があります。

  • 介護休業・介護両立支援制度等に関する研修の実施
  • 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備 相談窓口の設置
  • 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
  • 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の取得促進に関する方針の周知

 

周知することがポイント

介護休業及び介護両立支援制度等を取得しやすい環境整備の措置として、
相談窓口や相談対応者を設置した場合も従業員へ周知しなければいけません。

 ~具体的な面談のポイント

・従業員から個別に家族の介護が必要だと相談や申し出があった場合、面談などを通じて利用できる制度を知らせることを義務化することとなっています。
周知事項と介護休業の取得・介護両立支援制度等の利用の意向確認を、個別に行わなければなりません。その際、取得・利用を控えさせるような個別周知と意向確認は認められません。

・会社の管理者や面談担当者は、研修を受講するなどの準備をしておくことで円滑に面談に対応できます。

  ☆相談面談での両立課題の共有
  ☆両立支援制度の説明、社内外の手続き等について必要書類の説明や、介護が必要となった場合に相談できる地域の窓口の周知(地域包括支援センターの案内) など
  ☆働き方の調整について
  ☆職場内の協力、理解の譲成
  ☆上司や人事による継続的な心身の状態の確認
  ☆社内の協力的なネットワークづくり

参照 育児・介護休業法改正ポイントのご案内
厚生労働省 都道府県労働局雇用環境・均等部(室)

・介護に直面していない段階の従業員の場合でも、仕事と介護の両立支援制度を十分活用できないまま介護離職に至ることを防止するため、介護に直面する前の早い段階(40歳等)に介護休業および介護両立支援制度等に関する情報提供や、相談や申し出時に利用できる制度を従業員に知らせなければならないとされています。

※ 40歳になって介護保険に加入する際に、全従業員に介護休業などの支援制度を書面で知らせることを企業に義務付ける。とされています。
~2025(令和7)年度より施行「介護休業制度などの個別周知及び意向確認」の義務化より ~


【 労働者側 】の理解とポイント

介護休業とは、要介護状態になった家族を介護するため、労働者が利用できる休業制度
です。要介護状態とは、育児・介護休業法では、「負傷や疾病をはじめ、身体や精神上の障害で2週間以上の期間におよぶ常時介護が必要な状態」と定めています。

「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のことで、まだ要介護認定を受けていない段階でも、
介護休業の対象となります。この常時介護を必要とする状態については、判断基準が定められています。

介護休業の判断基準とは、常時介護を必要とする状態に関する判断の基準があります。

※介護休業は2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護するための休業で、常時介護する状態については基準に従って判断されることになります。

(1)介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
(2)状態①~⑫のうち、2が2つ以上又は3が1つ上該当し、かつ、その状態が継続すると認められること。

 

項目  状態

    1

    2

    3

①    

座位保持(10分間一人で座っていることが出来る)

自分で可

支えてもらえばできる

できない

②    

歩行(立ち止まらず、座り込まずに5m程度歩くことができる)

つかまらないで
できる

何かにつかまればできる

できない

③    

移乗(ベットと車いす、車いすと便座の間を移るなどの乗り降りの動作

自分で可

一部介助、見守り等が必要

全面介助が必要

④    

水分・食事摂取

自分で可

一部介助、見守り等が必要

全面介助が必要

⑤    

排泄

自分で可

一部介助、見守り等が必要

全面介助が必要

⑥    

衣類の着脱

自分で可

一部介助、見守り等が必要

全面介助が必要

⑦    

意思の伝達

できる

ときどきできない

できない

⑧    

外出すると戻れない

ない

ときどきある

ほとんど毎回ある

⑨    

物を壊したり衣類を破くことがある

ない

ときどきある

ほとんど毎回ある

⑩    

周囲の者が何等かの対応を取らなければならないほどの物忘れがある

ない

ときどきある

ほとんど毎回ある

 

⑪    

薬の内服

自分で可

一部介助、見守り等が必要

全面介助が必要

⑫    

日常の意思決定

できる

本人に関する重要な意思決定はできない

 

参照 育児介護休業法のあらまし(厚生労働省)

会社は、介護休業の申出を受けた場合、労働者に申出に係る対象家族が要介護状態にあることを証明する書類の提出を求めることができるとされています。
証明書類は「医師の診断書」等に限定されておらず、提出可能な書類でよいとされています。


flairポイント!  

介護休業における「93日」は、自力で家族を介護するためだけの期間ではありません。介護は93日では足りず、年数のかかる場合が多いものです。仕事と介護を両立する為、今後の長期的な介護に関する方針を決めるまでの間、当面、家族による介護がやむを得ない期間について、緊急的対応措置として、休業ができるようにすることが必要であるという観点から創設されています。 労働者が家族の介護をひとりで抱えずに、職場、福祉、地域の活用などを含め、必要な支援チームで乗り越えるための方法を検討・準備する期間と考え「介護休業」を有効活用していきましょう。