いろいろな賃金の違い
Q 最低賃金と平均賃金、割増賃金とはそれぞれ何が違うのですか。
A 最低賃金とは、賃金の最低基準でありすべての労働者に適用されます。平均賃金とは、休業手当や解雇予告手当、減給の制裁の限度額などを算出する場合に使われます。割増賃金とは、残業(時間外労働)深夜労働、休日労働をした際に、労働者に対して一定割合を増額して支払う賃金のことです。それぞれ使用される場面や計算方法に違いがあります。
【最低賃金】
年齢に関係なく、正社員やパート、アルバイトなどを含めたすべての労働者の1時間当たりの賃金は最低賃金以上でなければいけません(一部例外あり)。それを下回る場合は、その契約は無効となり法律の基準まで引きあげられます。
最低賃金は都道府県ごとに異なり、毎年10月頃に改定されます。
月給制の場合・・・月によって所定労働時間数が異なるとき
(*1)諸手当から除外するもの
・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
・割増賃金(時間外労働、休日労働及、深夜労働)
・精皆勤手当、通勤手当、家族手当
【平均賃金】
休業手当等を算定する基礎となるものです。原則、算定すべき事由が発生した日以前3カ月間の賃金をその期間の総日数で割った金額です。(賃金締切日がある場合は直前の賃金締切日から起算)
(*2)賃金総額から除外するもの
・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
・産前産後の休業期間など算定期間から除かれる期間中に支払われた賃金
(*3)算定期間から除外するもの
・業務上の負傷・疾病による療養のための休業期間
・産前産後の休業期間
・使用者の責に帰すべき事由による休業期間
・育児・介護休業期間
・試用期間
【割増賃金】
法定労働時間を超えた労働、深夜(午後10時~午前5時までの)労働、休日(週1日または4週4日の法定休日の)労働をさせた場合、通常の賃金を一定以上割り増した割増賃金を支払わなければなりません。
割増賃金=1時間あたりの基礎賃金×対象の労働時間×各種割増率
月給制の場合・・・月によって所定労働時間数が異なるとき
(*4)諸手当から除外するもの(労働の対価として払われるもの以外を除外するという考え方)
・家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当
・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
最低賃金は、労働者が受けとる賃金の最低の基準を定めたものであり、その基準以上の労働契約でなければなりません。
平均賃金は、事業主の都合で休業する時や突然解雇されてしまった時、業務上の負傷や疾病による休業時やペナルティーにより減給される時、それにより突然収入が絶たれてしまうことを防ぎ、労働者の生活を保障するための休業手当や解雇予告手当、災害補償や減給の限度額の基準として利用されます。
割増賃金は、法定以上の労働時間数や労働時間帯に応じ、法令で定める割増率以上の率で算定した割増賃金を支払うものです。1日における時間外・休日・深夜労働の各時間に端数(1時間未満の時間)が生じても、1分単位の時間を切り捨てることはできません。ただし、1カ月ごとの時間外労働の合計について30分未満を切り捨て、それ以上を1時間に切り上げる端数処理をして割増賃金を計算することは認められています。