2024年7月16日 (火)

グレーゾーンを放置しないハラスメント防止の取り組み(その3)

Q 社内でハラスメントの相談担当を行っています。複数の従業員から、「特定の管理者からパワハラを受けた」との苦情が寄せられ調査をしましたが、パワハラとは認定されませんでした。しかし、この問題に対して、会社として何もしなくてもいいのでしょうか?


A 管理職の言動が「ハラスメント」と認定されなかったとしても、その行為は、同じ職場で働く労働者の能力発揮に重大な影響を与える可能性が高いと思われます。就業環境を害するおそれがある言動については、職場全体でハラスメント防止の意識を高め、防止のための取り組みを積極的に行っていくことが大切です。


 パワハラ防止指針では、相談者と行為者への個々の対応にあわせて、職場全体に向けたハラスメントの再発防止措置を講じることが求められています。
   ハラスメントを防止するための取り組みとしては、以下のことが考えられます。

 

  (1) ハラスメント防止規定を作成し、事業主が従業員へメッセージを発信する

就業規則や服務規律の中にハラスメント防止規定を作成し、事業主が「ハラスメントを行ってはならない旨の方針および職場におけるハラスメントを行ったものに厳正に対処する旨の方針」を明確に表明しましょう。トップが方針を表明することによって、従業員が安心して働くことができ、社内の相談窓口も利用しやすくなります。また、行為者に対しても、規定にそって処分されるかもしれないという心理的な抑止力にもなります。

トップの方針表明の場としては、従業員へ向けた挨拶の時(朝礼、年末年始の会、月例会、事業報告会、社内研修会等)に伝えるのが望ましいが、社内報やパンフレット、ホームページなどの広報や啓発のための資料などに掲載したり、配布したりすることも効果があります。

 

(2)実態を把握する

アンケート等を実施することで、従業員のSOSの声を上げやすくする取り組みもよいでしょう。アンケートは無記名で実施するのが効果的です。自分自身が被害にあっている場合もあれば、周りの同僚が被害にあっていることもあります。早期に情報をキャッチすることで、被害を最小限に食い止めることができます。

 

(3)教育研修の実施

従業員に対して、ハラスメントに関する研修、講習などを計画的に実施しましょう。

対象としては、管理者や一般職、非正規労働者も含めて実施しましょう。

内容としては、ハラスメントの基礎知識(パワハラ・セクハラ・マタハラ等)の座学や、コミュニケーション研修(アサーション、アンガーマネジメント等)など実践的な内容もよいです。また、グループワークなどを取り入れた内容の研修は、人との価値観の違いを再認識することができたり、自分の言動を振り返ることができたりし、相手への気遣いや思いやりなど人権意識を高めることが期待できます。

 

(4)相談窓口の周知・啓発

 ハラスメントの相談窓口を社内に限定せず、社外の人事労務やカウンセラーなどの専門家に依頼して設置することも可能です。相談する従業員からみれば、選択肢が多い方が事情に応じて選択できるというメリットがあります。

いずれにしても、ハラスメントの相談窓口を気軽に利用してもらえるよう、ポスターやカード、社内イントラを活用して従業員へ周知しましょう。

相談方法も電話・窓口だけでなく、メールやチャット等でも利用できるよう工夫してみましょう。

 

(5)日頃の声掛けの中で予防活動

ハラスメントの被害を受けている人は、元気がなかったり口数が少なくなったりと、職場で孤立しがちです。相談窓口に相談をする勇気が持てない人も多いです。相談担当者は、窓口で相談を待つだけではなく、自ら声をかけていくことも時には必要です。日頃の何気ない挨拶や会話をきっかけに、困りごとの相談がスタートすることもあります。

「パワハラと認定されないので大丈夫!」ではなく、ハラスメントの芽を早めに摘んでおくことが大切です。相談窓口担当者が積極的に働きかけることで、未然にハラスメントを防止することができたり、被害を最小限に留めたりすることができます。

 

(6)相談窓口担当者のケアも大切に

職場における人間関係の調整は、精神的にも身体的にもストレスの負荷がかかり、ハラスメント相談担当者自身もメンタルダウンするリスクはあります。担当者だけがひとり抱え込んで頑張るのではなく、職場の人事・総務・安全衛生の担当者と連携しながら、出来るところから取り組んでいきましょう。場合によっては、外部のスーパーパイザーやカウンセリングが利用できる体制整備も必要です。

行政の利用できるサービスや相談窓口もありますので、積極的に活用されることをお勧めします。 


厚生労働省ポータルサイト

ハラスメント対策「あかるい職場応援団」

働く人のメンタルヘルス「こころの耳」

 

2024年7月12日 (金)

倉吉市立図書館でパネル展示しています

7月11日(木)より倉吉市立図書館の交流プラザエントランスにて幅広い世代の皆様へ向けたパネル展示を行っています。

労働法に関する情報や、生活上や職場で役に立つのコミュニケーションやハラスメント予防のために知っておくと役に立つ知識についてわかりやすくまとめた啓発パネルの展示、またトラブルの未然防止の為の無料の労働セミナー開催のご案内なども展示しております。

ぜひこの機会にご覧いただけたらと思います。

【展示期間 7月11日(木)~ 8月7日(水)】

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2024年6月26日 (水)

鳥取県立鳥取緑風高校でパネル展示をしました

緑風高校での出前セミナーの実施にあわせて、校舎の生徒玄関に労働関係Q&Aパネルを展示させて

いただきました。

【展示期間 6/18(火)~6/25(火)】
【展示場所 鳥取県立鳥取緑風高校 生徒玄関】

退職のルールや、仕事中に皿を割ってしまった時の弁償費用の考え方などをわかりやすく解説しています。

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これからアルバイトをされるにあたり、是非知っておいていただきたいルール等をご覧いただけます。

みなくるが、困ったとき気軽に相談できる場であることをこの機会に知って頂ければ嬉しいです。

出前セミナーに行きました(鳥取県立鳥取緑風高校)

 これだけは知っておこう! 
働く時のルール

    
      【日時】令和6年6月18日(火) 
                   12:50~14:30(昼間部)、17:45~19:20(夜間部)
      【場所】鳥取県立鳥取緑風高校
      【対象】定時制 1~4年生
          参加生徒 58名(昼間部55名、夜間部3名)
      【講師】みなくる鳥取 労働・雇用相談員 前田陽子

 

「立場の異なる社長と社員では求めるものが違う」からこそ、労働法を知り、自身の労働条件を確認することが大切だとワークを通じて感じていただきました。また、働く時の基本的なルールを、〇×クイズや多くの労働相談事例を織り交ぜながら説明しました。

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今後、アルバイトや社会に出られて働く際に、間違ったことに気が付くことができ、困ったとき誰かに相談できるように、今日の講義が少しでも記憶に残れば幸いです。

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2024年6月14日 (金)

パワハラ認定における懲戒処分(その2)

Q 中小企業の社長をしています。先日、社内のハラスメント相談担当者より、パワハラ事案がありその調査結果の報告を受けました。報告内容を聞くと、パワハラ行為者への懲戒処分を検討しなければならないと感じているのですが、気を付けておくことはありますか?


A  パワハラ行為者への懲戒処分をするときには、就業規則に懲戒の種類、懲戒の事由が定められ、従業員に周知されていなければなりません。処分内容についても、事案の内容と比較して重すぎる懲戒処分は無効となる可能性があります。懲戒処分には、客観的に合理的な理由と社会通念上相当であることが求められるので、慎重に判断しましょう。


【ハラスメント対策委員会の設置と事実確認】

パワハラの認定においては事業主のみで判断せず、人事部長や労働者代表(労働組合役員等)、外部の専門家(顧問弁護士や顧問社労士)などのメンバーで構成された委員会(ハラスメント対策委員会)を設置して、ここが中心となって判断していくことが望ましいです。

ハラスメント対策委員会は、パワハラ事案の報告書をもとに、相談者・行為者双方から再度事実関係を確認します。処分に先立ち、パワハラ行為者に弁明の機会を与えることも必要です。

●パワハラと認定できなかった場合
ハラスメント対策委員会でパワハラと認定できなかった場合、相談者・行為者に報告することとなります。その時、相談者から再調査を求められた場合、相談者の納得できない気持ちを傾聴しつつも、新たな事実が出てきた場合のみ対応し、会社としては適正な対処を行った上での調査結果や判断であることを伝えましょう。

【パワハラと認定された場合】
パワハラと認定されたら、そのパワハラ行為が懲戒に値する内容かどうかを検討します。
懲戒処分の判断に際しては、下記の「考慮すべき要素」を参考にしてください。重すぎる懲戒処分は無効となるので、注意してください(労働契約法第15条)。

<パワハラの行為者に対する懲戒処分にあたり、考慮すべき要素>

・パワハラ行為の内容、頻度や期間、常習性
・パワハラ行為についての他の相談者の数
・パワハラによる相談者の被害の程度(相談者が退職に追い込まれているかどうか、精神疾患にり患するなど、健康上の問題が生じているかどうか)
・行為後の謝罪や反省の有無(パワハラではないと否定したり、開き直っているのか否か)
・行為者の過去の懲戒処分歴の有無
・職責、管理職が行為者なのかどうか   など

 パワハラは悪質ないじめ行為等の場合もありますが、熱心に指導をした内容が行き過ぎてしまったという場合もあります。パワハラ自体は許されない行為ですが、その処分にあたっては、懲戒処分として処罰をするのが適切か否かも含めて検討が必要でしょう。

(例)行き過ぎた発言があり最終的にパワハラと評価される行為をした社員が、真摯に反省している場合などにおいて、安易に懲戒処分を選択したことで、会社への貢献意欲等を喪失し、貴重な人材を失うということもあります。

 懲戒処分に値する行為が行われた場合であったとしても、懲戒処分ではなく厳重注意処分(次回同種の問題を起こせば厳しい懲戒処分を行う旨の警告付き)程度にとどめ、改善の機会を付与するという場合もあります。
 しかし、一方で行為者の反省の意思がなく繰り返しパワハラ行為等を行う悪質な従業員の場合は、放置しておくこと自体が極めて問題であり、被害が深刻化しますので、懲戒処分をすることも許容されます。

懲戒処分の種類は、「戒告・けん責・訓戒」「減給」「出勤停止」「降格処分」「諭旨解雇」「懲戒解雇」など、会社によって様々です。

 

【懲戒処分を決定したら】
 会社によってパワハラの再発防止を目的として、懲戒処分を公表する場合があります。ただし、公表するか否かは、行為者だけでなく、パワハラ被害者のプライバシーを保護する観点からも慎重な判断が求められます。

行為者へは、懲戒処分の内容を伝えるとともに、行為者の言動がなぜハラスメントに該当し、どのような問題があるのかを真に理解させることが大切です。

相談者(被害者)へは、行為者との関係改善に向けた援助や、行為者と引き離すための配置転換、また行為者から謝罪させる、などの配慮措置が求められます。その時、相談者(被害者)の意思を尊重するように心がけましょう。また、相談者の労働条件上の不利益の回復やメンタル不調があれば、管理監督者や産業保健スタッフと連携を取りながら対応しましょう。

 懲戒処分については、弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談しながら、慎重に対応されることをお勧めします。

ハラスメント相談窓口担当者の役割(その1)

Q 職場のハラスメント相談窓口担当者に任命されました。先日、パワハラを受けているという内容のメールが届き、今度対面でお話を聞くこととなりました。相談対応をするときの注意点や気を付けておくことを教えてください。


まず、社内の就業規則やハラスメント防止規定を確認し、相談窓口担当者の役割がどこまでなのか事前に把握しておきましょう。話を聞く時は、公平・中立を意識しながら、相手の話を最後までしっかり聞きましょう。


全ての事業主には、職場におけるハラスメント防止措置が義務化されており、パワハラ等の相談に適切に対応するために必要な体制の整備を行わなければなりません。

ハラスメントの相談体制は各職場で異なるので、就業規則や服務規律(ハラスメント防止規定)などで事前に確認しておきましょう。また、ハラスメントの相談から懲戒処分までの流れやハラスメント相談担当者の果たすべき役割の範囲も確認しておきましょう。


【相談対応する前の注意点】

  1. 事実関係を正確に把握するためにも、行為者・相談者・関係者への聞き取りは2名で対応し、聞き手担当、記録担当と役割分担しておくとよいでしょう。また、当事者や関係者と利害関係のない担当者を選任することが望ましいです。
  2. 双方の話を聞く時は、どちらかに肩入れしすぎないよう公平・中立に話を聞くよう心がけましょう。先入観をできるだけ持たないようにしましょう。
  3. 相談者に対して、「ハラスメント相談担当者には守秘義務が課せられていること」、「相談したことを理由に不利益な取扱しないこと」「プライバシーは保護されること」を十分説明し、安心して話せる環境を作りましょう。
  4. 相談者および行為者・第三者には、調査にあたって、聞き取りを受けたことやその内容について口外しないことを約束させましょう。また行為者に対して、報復行為は禁止であることを強調しておきましょう。

 

【相談内容を聞く時の留意点】
 パワハラの相談があった場合、会社はパワハラの有無を調査し、事実関係を正確に把握することが大切です。

<相談者への聞き取り>
(1)  最初の聞き取りでは「指導」や「判断」をすることはせず、相談者の言い分に耳を傾け(傾聴)、気になる点があったとしても、反論したり、話を遮ったりせずに、最後まで話を聴きましょう。

(2) 相談を聞く時は、具体的な事実確認に徹して話を聞きましょう。「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように」など、問題となった発言や行為、その言動に至る経緯、行為者と相談者の関係などについても詳細に調査しましょう。

(3) 相談者の心身の状態を把握しましょう。傷害を負っていないか、精神的にまいっていないかどうか(睡眠や食欲、体調の変化等)を確認しましょう。場合によっては医療機関の受診や産業医へつなぎましょう。

(4) 相談者が何を望んでいるのか確認しておきましょう(ただ聞いてほしいだけなのか、懲戒処分をしてほしいのか、配置転換を希望するのか、等)。

<行為者・第三者への聞き取り>
(5) 行為者および第三者への聞き取りについては、相談者の了解を得てから行いましょう。相談者の了解が得られない場合は、行為者等への聞き取りは原則できません。しかし、放置しておくと職場環境に重大な影響を与えかねない場合や相談者が不利益を被る恐れがある場合は、行為者・第三者への聞き取りの必要性について、相談者に十分理解してもらうよう話し合いましょう。

(6) 相談者の主張が必ずしも事実とは限りません。行為者への聞き取りの際は、あくまでも中立的な立場であることを意識して、先入観を持たないよう、話を聞くことが大切です。

(7) パワハラの対象となる行為を行為者が認めている場合は、その内容を記録しておきましょう。逆に行為者が対象行為を認めていない場合は、相談者や第三者から再度聞き取りを行いましょう。

 
 相談者・行為者・第三者の言い分を照らし合わせ、双方の言い分に食い違いがある場合は、客観的な証拠や目撃者等の第三者の証言に照らして、どちらの言い分が信ぴょう性が高いのかを判断しましょう。話の内容に一貫性があるか、矛盾がないかなども判断の要素となります。

 

【聞き取り後の対応 ~担当者の役割の範囲~】

 パワハラの事実関係の聞き取りが終わると、パワハラの有無について判断することになりますが、ハラスメント相談担当者の役割が、聞き取りまでなのか、パワハラの判断や処分にまで関与するのか、企業や担当者の職責によって異なりますので、再度確認しておきましょう。

 
企業によっては、ハラスメント相談担当者の役割を内容の聞き取りと取りまとめまでとし、社内で構成した専門委員会(例:ハラスメント対策委員会等)が、報告内容に応じてパワハラの認定や処分を行うという役割分担をしている場合があります。


【相談者(被害者)に対する配慮措置の実施】
 パワハラの相談があった場合(最終的な調査結果を待たずとも)、速やかに相談者(被害者)に対する配慮措置を行うことが求められます。相談者と行為者との関係改善に向けた援助や、行為者と引き離すための配置転換、また行為者から謝罪させる、などの対応が考えられますが、相談者(被害者)の意思を尊重するように心がけましょう。


【再発防止に向けた措置】
 パワハラ防止指針では、相談者と行為者への個々の対応にあわせて、職場全体に向けたハラスメントの再発防止措置を講じることが求められています。
 ハラスメントがあったのか、又はハラスメントに該当するのか否かの認定や事実確認も重要ですが、問題となっている言動が改善され、良好な職場環境を回復するためにはどうしたらよいのかも同時に考え、行動することが大切です。

参考フロー図
企業によって相談体制は異なるので、あらかじめハラスメント相談窓口担当者に任せる職務の範囲を明確にしておきましょう。

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(参考)厚生労働省:「職場における、パワーハラスメント対策、セクシュアルハラスメント対策、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント対策は事業主の義務です!」(令和4年11月作成)より抜粋【相談・苦情への対応の流れの例】


関連ページ 職場でのいじめ・パワーハラスメント

2024年4月30日 (火)

GWのお休みについて

2024年5月3日(金)~5月6日(月)までお休みとさせて頂きます。

メール相談等のお返事は5月7日(火)以降となりますのでご了承ください。

よろしくお願い致します。

土曜開所日(2024年5月・6月)のお知らせ

平日の相談に加えて毎月第1土曜日を、鳥取・米子で交互に開所しています。


2024年 5月11日(土)みなくる鳥取 
2024年 6月 1日(土)みなくる米子で窓口相談が可能です。

※開所されていない地域は、フリーダイヤルでの相談対応になります。

みなくる鳥取 0120-451-783
みなくる倉吉 0120-662-390
みなくる米子 0120-662-396

お近くのみなくるにご相談ください!(9:00~17:00)


2024年度(4月~3月)の土曜相談日一覧も参考にしてください。

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2024年4月11日 (木)

事業開始後に廃業しても基本手当(失業給付)を 受けられる特例

Q 事業縮小で会社から整理解雇されました。退職後自分で事業を始めようと思っていますが、事業がうまくいかなかった時のことが心配です。そうなると失業給付はどうなるでしょうか。


A 雇用保険の基本手当(失業給付)は、失業中の生活を安定させるために支給されるもので、求職活動をしている場合に給付されます。したがって、退職後求職活動をしないですぐに起業した場合は受給することができません。しかし、受給資格のある人が受給期間特例の手続きをすることで、最長4年間受給期間を延長することが出来ます。仮に事業が上手く行かず廃業したとしても、基本手当の受給期間が残っていれば、再び基本手当を受給することが可能となりますので、期限までに受給期間延長の手続きをしておくことをお勧めします。


雇用保険の基本手当の受給期間は、原則離職日の翌日から1年以内となっています。しかし、受給期間の特例により、事業を開始等した方が事業を行っている期間等の最長3年間(本来の受給期間1年間と合わせて合計最長4年間)受給期間に算入しないことが出来るので、仮に事業を休廃業しても延長した受給期間中の求職活動であれば基本手当が受けられます。

 離職日の翌日以後に下記の要件を全て満たす事業を開始等した場合は、受給期間の特例を申請できます。

 ① 事業の実施期間が30日以上であること。
 ② 「事業を開始した日」「事業に専念し始めた日」「事業の準備に専念し始めた日」のいずれかから起算して30日を経過する日が受給期間の末日以前であること。
 ③ 当該事業について、就業手当または再就職手当の支給を受けていないこと。(受給開始後に起業し、就業手当または再就職手当をもらってしまうと手続きは出来ませんが、就業手当または再就職手当が不支給だった場合には延長申請ができます。)
 ④ 当該事業により自立することができないと認められる事業ではないこと。
  ※次のいずれかの場合は、④に該当します。
  ・雇用保険被保険者資格を取得する者を雇い入れ、雇用保険適用事業の事業主となること。
  ・登記事項証明書、開業届の写し、事業許可証等の客観的資料で、事業の開始、事業内容と事業所の実在が確認できること。
 ⑤ 離職日の翌日以後に開始した事業であること。
 ※離職日以前に当該事業を開始し、離職日の翌日以後に当該事業に専念する場合を含みます。

 
受給期間延長の特例の申請手続きは、事業開始日の翌日から2か月以内に受給期間延長等申請書を開業届等の必要書類とともにハローワークに提出する必要があります。まずはハローワークに確認して、万が一のリスクに備えて手続きをしておいてはいかがでしょうか。

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2024年4月 3日 (水)

発行のお知らせ(冊子『労働相談Q&A』2024年3月発行)

冊子『労働相談Q&A』を2024年3月に発行しました。(VOL5 改訂版)

労働トラブルを色々な項目別にQ&A 方式で分かりやすく解説しております。

労務担当者や管理監督者だけでなく一般社員や興味のある方は是非ご活用ください。

無料で提供しておりますので、下記申込書に必要部数をご記入いただき FAX にてお申込みください。

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※お申込みは、お近くのみなくるにご連絡いただくか、下記申込書をご利用ください。

労働ハンドブック等申込書(2024最新版)

※可能な限り、お近くのみなくるでの受け渡しにご協力ください。