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2019年8月28日 (水)

労災で休業中に解雇を告げられた

Q 私は、正社員(期間の定めのない契約)で働いています。仕事中に負傷し、労災認定され、現在治療のため休業中です。ケガを治して仕事を続けたいと思っていたのに、会社から「職場復帰できそうにないので解雇します。」と言われました。
このまま辞めないといけませんか


A 労働基準法第19条では、正社員、パートを問わず、「労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間(中略)は、解雇してはならない。」と解雇制限を規定しています。したがって、業務上の負傷の場合、解雇することはできず、解雇は無効と言えるでしょう。


 ここでいう、「療養のために休業する期間」とは、負傷・疾病が症状固定の状態になるまでとされ、いわゆる治癒までの期間と解されています。また、「休業」とは連続した休業に限らず、就業する日と休業する日を繰り返すような場合も含むと解されています。「その後の30日間」とは、休業期間の長短に関わらず、たとえ休業期間が1日であっても、その後の30日間は解雇が制限されます。(休業していなければ、解雇制限の規定は適用されません。)

 ただし、業務上の負傷・疾病による療養のために休業している労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷・疾病が治らない場合においては、使用者が平均賃金の1200日分の打切補償を行えば解雇制限が解除され、その労働者を解雇したとしても労働基準法第19条には抵触しないとされています。(労働基準法第81条)

 

ワンポイントアドバイス!

 通勤中のけがなどのいわゆる「通勤災害」の場合は、「業務上の負傷」には該当しないとされ、通勤災害の場合は、労働基準法第19条の解雇制限には該当しません。                    しかし、その場合は通常の解雇と同様に

 1.合理的な理由の存在

 2.解雇予告の手続き  

が、必要とされ、それらを満たさない解雇は認められないということになります。 

 なお、有期雇用契約で休業中に労働契約が満了する場合については、解雇制限に該当しない場合があります。詳しくはみなくる通信Q&A平成28年8月を参考にしてください。

 納得いかない解雇をされたときは、早めに専門家へご相談ください。