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2020年9月30日 (水)

年次有給休暇の付与日数

Q 正社員として去年の9月1日に友人A、同年10月1日に私Bが入社しました。Aは6か月後の3月1日に有給休暇を10日付与され、更にその後、4月1日にも11日付与されました。私は4月1日に10日だけ付与されたのですが、付与日数が違うのはなぜですか。会社の就業規則では入社6か月後に10日付与、それ以降は4月1日を基準日として付与することとなっています。


A 使用者は、採用後6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤している労働者に対して最低10日の年次有給休暇を与えなければならなりません(労働基準法39条)。

労働基準法どおりであれば、Aさんは採用の6か月後の翌年3月1日に、Bさんは翌年4月1日に10日付与されることになります。更にその後、1年間継続勤務し8割以上出勤した場合に11日付与されますが、就業規則で採用の翌年度以降の基準日が4月1日と定められている場合は、Aさんは労基法より11ヶ月繰上げられた4月1日に、Bさんは繰上げられず10日付与となるため、AさんとBさんの付与日数に違いが生じることになります。


中途採用者に対する年次有給休暇を法律の規定通り付与すると、年次有給休暇の基準日が複数になるため、事務の簡素化等の観点から一定の要件を満たした場合に、全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える斉一的な取扱いができるとされています。

  1. 斉一的取扱いにより法定の基準日以前に付与する場合、付与要件である8割以上の出勤について、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすこと。
  2. 次年度以降の年次有給休暇の付与日についても、初年度の付与日を法定の基準日から繰上げた期間と同じ又はそれ以上の期間、法定の基準日より繰上げること。

 

相談のように、入社月による社員間の不公平感をなるべく軽減するためには採用時に10日を限度に基準日までの勤務日数に応じた日数の付与(10日を限度)や基準日を2回以上にするなど様々な方法が考えられますが、いずれの方法でも①②及び法定の付与日数を満たしていることが必要です。また、短縮期間は全期間出勤とみなします。

 

例1 中途採用者で基準日を統一する場合 

・基準日を4月1日に統一し、入社時に基準日までの勤務日数に応じた日数を付与

採用日         (8割以上出勤)         4/1  (8割以上出勤)  4/1             
    10日以内の中途採用時期に    11日発生         12日発生
    応じた年次有給休暇日数を付与

例2 中途採用者の基準日を2回(10/1と4/1)にした場合

・基準日が10/1(4/1~9/30に入社した人には10/1に10日付与)

4/1     7/1 (8割以上出勤)   10/1 (8割以上出勤)  10/1 (8割以上出勤)  10/1     
         採用日               10日発生          11日発生         12日発生

・基準日が4/1(10/1~3/31に入社した人には4/1日に10日付与)

       10/1 12/1 (8割以上出勤) 4/1 (8割以上出勤)  4/1 (8割以上出勤) 4/1       
                  採用日       10日発生        11日発生           12日発生