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2021年6月29日 (火)

契約書類を確認するタイミング

Q 入社が決まりましたが『労働条件通知書』と『労働契約書』の違いがわかりません。

それらをもらうタイミングはいつになりますか?


A 『労働条件通知書』は、労働条件を会社から労働者に提示する書面です。そのため、労使双方の署名捺印などは必要ありませんが、労働契約を締結する際、労働条件を提示することによって労働者は諸条件に納得して入社することができるし、入社後に企業が恣意的に労働条件を変更することを阻止することもできます。また、実際の労働条件と労働条件通知書の記載内容が異なる場合は、労働者側から労働契約を即時解除することができます。労働条件通知書の交付は法律上定められた義務なので、交付されない場合は罰則の対象になります。

一方、『労働契約書』は、労働契約の成立を明らかにするための書面です。労働契約は会社と労働者の合意で成立するため、労働契約書の作成は法律上の義務ではありません。したがって、たとえ会社が作成しなくても違法ではありません。

 

書面をもらうタイミングは、お互いが合意した時点、つまり労働契約が成立したときになります。

1  ※採用決定・内定時に『労働条件通知書』をもらうことで契約を交わす前に労働条件を確認できます。

労働条件通知書と労働契約書を合わせて「労働条件通知書兼雇用契約書」として交付している企業もあります。 


【労働条件通知書】とは?

労働基準法第15条及び同法施行規則で、労働契約を締結する際、労働条件について書面等で交付(①~⑥)するよう義務付けています。以下の項目が明示義務となっています。

①労働契約の期間、有期労働契約を更新する場合の基準 ②業務の場所、内容 ③業務の開始・終了時刻、残業の有無、休憩時間 ④休日、休暇 ⑤賃金の決定、計算方法、支払方法 ⑥退職に関する事項(解雇の事由を含む) ⑦昇給に関する事項

退職金や賞与などの制度を設ける場合はそれらも明示しなければいけません。

 ~労働条件通知書の電子化も~
これまで労働条件通知書は、紙での交付しか認められてきませんでしたが、2019年4月より労働者が希望した場合にはFAXやメール、SNSによる交付が認められるようになりました。ただし、この場合も印刷して書面にできる形式であることが条件となっています。 

 

【労働契約書】とは?

労働者と使用者の両者が合意していれば「労働契約」は成立します。そのため、法律上書面作成の義務はありませんが、労働契約法4条では、労働者と使用者(企業)が労働契約の内容についてできる限り書面で確認するよう規定しています。


flairポイント!

 口頭による契約でも労使が合意していれば「労働契約」は成立します。しかし、お互いの認識の違いから発生するトラブルを避けるために、契約が成立した時点で労働条件通知書の交付を受けましょう。