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2023年11月14日 (火)

時給900円のアルバイトで深夜に働いても割増はないの?

Q コンビニで午後7時から深夜2時までの間(休憩1時間)、時給900円の契約でアルバイトをしています。店長から「深夜に働いても労働契約の時給900円だ。最低賃金と同額だから問題ない。」と言われました。人手が足りないときは朝までバイトに入るのに、給料は時給900円でしか計算されません。深夜に働いても割増はないのでしょうか。


A 賃金額は、労使間の労働契約によって自由に決められますが、最低賃金を下回る労働契約は無効です。また、深夜労働(午後10時から午前5時までの時間帯)や法定労働時間を超えた時間外労働には割増賃金が支払われなければなりません。今までの深夜労働と時間外労働に対する差額分を請求(時効3年間)し、今後の適正な深夜割増賃金を会社に求めましょう。


使用者は、正社員やアルバイト、パートなどの雇用形態に関係なく、労働者に時間外労働、休⽇労働、深夜労働を行わせた場合は、法令で定める割増率以上の率で算定した割増賃⾦を⽀払わなければなりません。(労働基準法第37条)





時間外労働

2割5分以上
(1か⽉60時間を超える場合は5割以上)

休日労働

3割5分以上

深夜労働

2割5分以上

 

割増賃金は、次のように計算します。

1_2

 労働時間が深夜時間帯(午後10時から午前5時まで)の場合、割増賃金率は2割5分以上となるため、労働契約の時給単価に割増賃金率が掛けられた賃金が支払われなければ最低賃金を下回ることになります。また、実際の労働時間が1日の法定労働時間(8時間)を超えた場合は、時間外労働の割増賃金率が掛けられた賃金が支払われることになります。

 (例)午後7時から翌朝6時まで働いた場合(休憩時間:午後11時~12時までの1時間)

①午後7時から午後10時まで(割増無し)
        900円×3時間=2,700円

②午後10時から午前4時まで(深夜割増0.25)休憩1時間のため5時間勤務
        900円×5時間×1.25=5,625円

③午前4時から午前5時まで(深夜割増0.25+時間外割増0.25(8時間を超えるため))
        900円×1時間×1.5=1,350円

④午前5時から午前6時まで(時間外割増0.25)
        900円×1時間×1.25=1,125円

            合計 10,800円 が支払われます。


労働契約によって時給が定められている場合、労働時間帯等に応じた割増額が支払われなければなりません。

ただし、深夜労働のみを行う場合の労働契約では、賃金額に割増率を掛ける方法以外に、契約賃金自体に深夜割増を含めた金額を設定することが可能です。その場合は、賃金額に法定の割増賃金相当分が含まれることが明確、かつ、労働者との間でその旨の合意がされていることが必要です。深夜割増を含めた賃金が用いられる時は、別に深夜労働の割増賃金は払われる必要はないとされていますので、ご自身の契約内容を面接・採用時の説明、労働条件通知書、労働協約、就業規則等で確認しましょう。