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2021年1月22日 (金)

有給休暇取得後の残業

Q 私の会社の所定労働時間は8時~17時までで休憩1時間となっています。先日、半日(4時間)の有給休暇を取得した後13時に出勤し、通常通り17時まで4時間働きましたが、残業を命ぜられ、仕事が終わったのは22時でした。上司には、「有給休暇の後なのに残業代を請求するつもりか。」と言われました。有給休暇取得後は、何時間働いても残業代が支払われないのでしょうか。


A 労働したことに対する対価は支払われなければなりません。労働基準法では、法定労働時間(1日8時間、1週間に40時間)を超えて働かせる場合、割増賃金を支払わなければならないとされています。「休暇=労働義務が免除される日」であり、年次有給休暇は実労働時間としてカウントされないため、1日や1週間ごとの実労働時間が法定労働時間を超えない場合は割増賃金が支払われません。今回のように22時まで働き、当日の実労働時間が9時間となった場合は、17時以降の5時間分の内、法定労働時間内の4時間分は割増しないで、法定労働時間を超えた1時間分を25%割増した残業代として請求できると考えられます。 

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~具体的な計算例~

  1. 時給1,000円
  2. 月曜日から金曜日までの5日勤務で1日の労働時間は8時間
  3. 所定休日は土曜日、法定休日は日曜日

このような場合の賃金を具体的に計算してみましょう。

 

例1)月曜日に半日(4時間)有給休暇後8時間働き、火~金曜日まで毎日8時間働いた場合

月曜日の実労働時間は8時間、週の実労働時間の合計が40時間となるため、割増賃金の対象にはなりません。ただし月曜日の有給休暇に4時間分の賃金が発生します。

月曜有給:4時間×1,000円×1日=4,000円

月曜労働:8時間×1,000円×1日=8,000円

火~金曜日:8時間×1,000円×4日=32,000円      合計44,000円

 

例2) 月曜日に1日有給休暇を取得し、火~金曜日までと土曜日に毎日8時間働いた場合

土曜日に8時間働いても、週の実労働時間の合計が40時間のため、割増賃金の対象にはなりません。

月曜有給:8時間×1,000円×1日=8,000円

火~金曜日:8時間×1,000円×4日=32,000円

土曜労働:8時間×1,000円×1日=8,000円        合計48,000円 


原則は上記のとおりですが、就業規則に終業時刻後に勤務した場合には、割増賃金を支払うと規定がされていれば、たとえ労働時間数が法定労働時間数内であっても、終業時刻後の労働時間数に対して、25%の割増賃金を加算して支払う必要があることになりますので、注意が必要です。