労働相談Q&A(全) Feed

2019年7月19日 (金)

賞与(ボーナス)の扱い

Q 今の職場は、その年によってボーナスが支給されたり、なかったりしています。入社の際にはあるものと思っていたので、確認せずに入社しました。ローンもあるのでボーナスは支給してほしいのですが、会社は景気の動向を理由にはっきり回答してくれません。


A 労働基準法11条には「この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対象として使用者が労働者に支払うすべてのものいう」とあります。そして、同法には賃金の支給に関する原則などが定められています。しかし賃金の支給そのものを義務づけているのは、別の法律の最低賃金法であり、同法において賞与は賃金から除外されています。したがって使用者には労働法上において、賞与を支給しなければならない義務はないのですが、入社時の労働契約や就業規則、労使協定などに定めがあれば、賞与を支給しなければいけません。


ワンポイントアドバイス!

・使用者は就業規則を従業員に周知する義務があります。賞与に関する規定が記載されている場合は、規定を根拠に回答をもらわれると良いでしょう。

 

flair育児休業中の賞与(ボーナス)

タイミングによっては同じ会社の人でも、もらえるケースともらえないケースがある。

・会社規定に「賞与は会社の休業中の者には支給なし」と記載があった場合でも、算定期間中に働いた日数分は支給されます。ただし、「会社の業績と個人の成績を勘案し各人ごとに決定する」等の記載がある場合は支給なしとなる場合があります。

・育児休業中に賞与(ボーナス)がもらえるかどうかは会社規定の「賞与の支給要件」を確認しましょう。また、支給を受けても育児休業給付金が減額されることはありません。

2019年6月21日 (金)

休業について

Q 社長から「仕事がないので5日間ほど休んでほしい」と言われました。日給制なので大変困ります。
仕方ないのでしょうか。


A このような使用者側の都合で休業した場合には、休業手当を受け取る権利があります。
休業期間中の休業手当について、社長さんと話し合ってみましょう。


◆「休業」とは、労働契約上、労働義務のある日や時間について、労働者が労働できなくなることで、集団的休業、個々人の休業もあります。また、丸1日の休業だけでなく、1労働日の所定労働時間の一部のみの休業もあります。

 

◆休業中の賃金請求権は休業の理由によって違ってきます。

休業の理由が使用者側にある場合

 労働基準法第26条では使用者側の都合により労働者を休業させた場合には、休業させた所定労働日について、平均賃金の6割以上の休業手当を支払わなければならないと定めています。

 工場の焼失、機械の故障・検査、原材料不足、資材入手難、資金難、生産過剰による操業短縮、監督官庁の勧告による操業停止などが該当します。例えば、親会社の経営難によって資金や資材を調達できずに休業した場合であっても、使用者側の都合により労働者を休業させた場合に該当するとされています。

休業の理由が使用者側にない場合

 地震、台風などの天災事変等の不可抗力の場合は使用者の都合による理由に当たらず、休業手当の支払い義務はありません。ここでいう不可抗力とは

  1. その原因が事業の外部より発生した事故であること
  2. 事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしても、なお避けることのできない事故であること

の二つの要件を満たすものでなければなりません。

 

 なお休業手当は賃金と同じ扱いになりますので、決められた賃金支払日に支払いを受けることが出来ます。

ワンポイントアドバイス!

使用者が支払いに応じない場合などは、労働基準監督署へご相談ください。

2019年5月24日 (金)

罰金や違約金を定めた労働契約はできるか?

Q バイトの面接時、店長に「もし遅刻をした時は、罰金5,000円を払ってもらう。」と言われました。
そうなった時は、支払わないといけないでしょうか。


A 労働契約を結ぶ際、実害とは無関係に、「もし、~なら〇万円賠償させる」などと、違約金・損害賠償額の予定をあらかじめ定めることは労働基準法(第16条)で禁止されています


労働契約の禁止事項には

 ①違約金・損害賠償額の予定 (労基法16条)

 ②前借金と賃金の相殺(労基法17条)

 ③強制貯金(労基法18条)          があります。

 ①については、労働者本人だけでなく、親権者や身元保証人に損害賠償を負担させることも禁止されています。

その他にも

 ・一年以内に退職したら罰金10万円

 ・会社に損害を与えたら20万円支払うこと  なども違法です。

ただし、現実に労働者の責任により発生した損害についての賠償を請求することまで禁止したものではないので、実害について弁償費用を請求される場合もあります。

(弁償費用については2018年9月みなくる通信Q&Aを参考にしてください。)

 

また、賃金は、労働の対価と支払われるものですので、欠勤・遅刻・早退の就労していない部分について、使用者に賃金の支払い義務はありません。遅刻した時間分の賃金がカットされた場合は、やむをえないと言えます。

 不当な請求をされたら、早めに専門家へご相談ください。

2019年4月22日 (月)

入社後の試用期間とは?

Q 入社にあたり2ヵ月は「試用期間」と言われましたが、理解せずに了承しました。 
試用期間は何故あるのか?その内容を詳しく教えてください。


A 労働基準法では、試用期間を設けることが認められています。この試用期間とは、社員を採用するにあたって、はじめから正式な採用とはせずに、1ヵ月や3ヵ月の期間を限定して「試みに採用する」ことを定め、その期間中に「当社の社員として適格であるか否かを判断」する期間のことです。

 試用期間の長さの限度については、労働基準法に規定はありませんが、判例において、あまりにも長い期間や延長を繰り返すなどは労働者に不当な不利益を強いることになるので、その規定や契約行為が公序良俗(民法)違反として無効になることもあります。一般的には、1ヵ月~3ヵ月がほとんどで、最も長くても6ヵ月といわれています。


ワンポイントアドバイス!

  • 試用期間を設ける場合には、就業規則または労働契約書に規定を設ける必要があるので、試用期間中の条件や期間については就業規則を確認しましょう。
  • 試用期間中と本採用になってからの処遇の違いを把握しておくとよいです。
  • 試用期間中は使用者に労働契約の解約権は留保されていますが、身分は社員となりますので、本採用前であっても社員としての自覚は大切にしましょう。
  • 試用期間中に本採用を拒否することは解雇となります。
    14日を超えて雇用されている場合は「解雇の正当な理由」と「30日以上前の解雇予告または解雇予告手当」が必要です。まずは、「解雇理由証明書」の提出を求めたり、就業規則の内容を確認し信頼できる人に相談することが大切です。

2019年3月14日 (木)

産休・育休中の経済的支援

Q 妊産婦の産前産後休業制度や育児休業制度のほかに、経済的支援制度としてはどのようなものがありますか?


A 産休・育休中の経済的な支援については、以下のような手当、給付金や保険料免除の制度があります。


 

Dcac2fd2d162357ebb4d6907c31229b5産休中の経済的支援

出産手当金
法律で定められた産休中(産前6週間、産後8週間)の生活を支えるための給付で、仕事に復帰するママのための制度です。

☆対象者:健康保険に加入している従業員
☆支給額:標準報酬日額(※)×3分の2×産休日数
    ※社会保険料を決める際の給与額(標準報酬月額)を30で割った数値
☆手続き:会社が協会けんぽ又は健康保険組合に申請をする。

産休中育休中の経済的支援

産前産後休業・育児休業期間中の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)免除
産休・育休期間の社会保険料が、被保険者本人負担分及び事業主負担分ともに免除される制度です。

☆手続き:会社が年金事務所又は健康保険組合に申出をする。

※社会保険料免除を受けた場合でも、その期間分は全て将来の年金額に反映されます。健康保険の給付も受けられます。

※2019年4月1日以降は、国民年金に加入している方でも、出産予定日の含まれる月の前月から4カ月間、国民年金の保険料が免除されます。ただし、国民健康保険料については免除されません。
手続きは、市町村役場にて出産予定日の6カ月前からすることが出来ます。

 育休中の経済的支援

育児休業給付金
雇用保険の被保険者が、育休を取得し賃金が一定水準を下回った場合に支給される制度です。

☆対象者:休業の開始前2年間に、賃金支払い基礎日数が11日以上ある月が12カ月以上ある雇用保険の加入者
☆支給額:休業開始時の賃金日額×支給日数×67%(休業開始から6カ月経過後は50%)
☆手続き:会社がハローワークにて手続きをする。


パートやアルバイトなど非正規労働者の方も対象となる制度もありますので、お気軽にみなくるなどの相談窓口へご相談下さい。

2019年2月27日 (水)

パートの産休・育休

Q パートで勤務していますが、妊娠していることがわかりました。産後も職場復帰して今の職場で働き続けたいと思っていますが、パートでも産休や育休は取れるのでしょうか?


A 産休はパートの方でも取得できます。育休は一定の要件を満たした場合に取得できます。


産休(産前産後休業)
出産前後に仕事を休める制度です。産前6週間(双子以上は14週間)、産後8週間休業できます。 出産予定の女性労働者であれば、パート、アルバイトであっても取得することができます。

育休(育児休業)
1歳に満たない子を養育するために一定期間休業できる制度です。母親・父親どちらでも希望する期間を休業できます。

ただし、勤続年数が1年未満の場合や、1週間の所定労働日数が2日以下の場合には取得できないことがあるので、就業規則等で確認しましょう。


パートなどの有期契約者の場合は、以下の要件に該当すれば取得することが出来ます。

育児休業の取得要件

  1. 申出時点で、同一事業主に1年以上継続雇用されていること かつ
  2. 子が1歳6か月までに雇用契約が無くなることが明らかでないこと

※パートなどで働いていても、期間の定めのない労働契約で働いている場合は、育児休業の対象となります。


休業の間は社会保険料免除や出産手当金、育休給付金などがあります。詳細な内容については次回以降でお伝えしたいと思います。

2019年1月25日 (金)

年5日の年次有給休暇を与える必要があります!(2019年4月から)

年次有給休暇は、原則労働者が請求する時季に与えるものです。

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しかし、取得率が低い現状があり年次有給休暇の取得促進が課題となっています。

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2018年12月19日 (水)

次の契約は更新しないと言われた

Q 突然「次の契約を更新しません」と言われた。


A 最初から更新しないことが決まっている契約であれば問題ありませんが、契約を何度も繰り返している場合には一定のルールがあります。


今まで何度も契約更新を繰り返している場合に、突然更新を拒否されることを雇止めといいます。

雇止めの決まり
下記の労働者に対して、次の契約を更新しない場合、少なくとも30日前までに雇止めの予告を行うこと
①1年を超えて継続雇用している方
②3回以上労働契約が更新された方
※あらかじめ契約更新しないことが明示されている場合は対象外

雇止めの予告後に、雇止めの理由について労働者が証明書を請求した場合は、使用者は遅滞なく交付しなければいけません。

雇止めを言われたらこうしよう!
①労働条件通知書(雇用契約書)の内容を確認
②雇止めの理由を書面で確認
③「働き続けたい」という意思があれば使用者に伝える

納得いかない雇止めであれば、早めにみなくるなどの相談窓口にご相談下さい。


2018年11月26日 (月)

年次有給休暇の付与日数

表1 週所定労働日数が5日以上 または 週所定労働時間が30時間以上 の労働者

継続勤務年数 6カ月

 1年
6カ月

 2年
6カ月
3年
6カ月
4年
6カ月
5年
6カ月
6年
6カ月以上
付与日数  10日 11日  12日  14日 16日 18日 20日

表2 週所定労働日数が4日以下 かつ 週所定労働時間が30時間未満 の労働者

週所定
労働日数

年間所定労働日数 6カ月

 1年
6カ月

 2年
6カ月
3年
6カ月
4年
6カ月
5年
6カ月
6年
6カ月以上
4日 169-216日  7日 8日  9日  10日 12日 13日 15日
3日 121-168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73-120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48-72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

flair2019年4月1日から、使用者は10日以上の年次有給休暇が付与されるすべての労働者に対し、毎年5日、時季を指定して有給休暇を確実に与える必要があります!これには、上の表2に当てはまるパートやアルバイトの方でも10日以上の年次有給休暇が付与されている場合は、対象になります

パートやアルバイトには有給休暇がない?

Q パートやアルバイトには有給休暇がない、と言われました。


A パートやアルバイトの方でも要件(※)を満たせば年次有給休暇は発生し、取得できます。


年次有給休暇は労働者の心身のリフレッシュを目的とした法定休暇です。要件(※)を満たした労働者が取得できる休暇です。

※要件(両方を満たすこと)
①6か月続けて働いている
②8割以上出勤している

以上の要件を満たした場合に、入社後7カ月目に有給休暇は発生し、その後1年ごとに取得できる日数は増えていきます。会社によっては、入社後すぐに有給休暇が発生する場合もありますので、確認しておきましょう。
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